【番記者通信】ハビエル、心からの敬意と祝福をあなたに!|インテル

2014年05月10日 サルバトーレ・リッジョ

老若男女に広く愛された偉大なバンディエーラ。

またひとり、偉大な名手がスパイクを脱ぐ。サネッティに心からの祝福を――。 (C) Getty Images

 イタリアにやって来た時、彼は無名だった。1995年の夏、ミラノに降り立ったアルゼンチン人の若手サイドバックが、後にネラッズーロ(インテルの愛称)の歴史に名を残すカンピオーネ(名手)となることを、誰が予想しただろうか。名門クラブのバンディエーラ(旗頭)として、ハビエル・サネッティは今シーズンをもって現役生活にピリオドを打つ。
 
 ミラノで過ごした19年間、サネッティは絶対に消えない数々のページを書き記した。ピッチの外では、優しく、礼儀正しい性格、卓越した人間性で人々の心を掴んだ。ピッチの中では、技術はもちろん、タフな精神力をつねに発揮してチームに貢献した。サネッティはすぐにインテリスタのお気に入りとなり、老若男女に広く愛された。19年の長きに渡ってそうあり続けたその事実は、彼が正真正銘のフオーリクラッセ(超ワールドクラス)だった証だ。
 
 そんな偉大な選手がキャリアに幕を引くのだ。イタリア・サッカー界を挙げて、祝福し、惜別すべきだ。その功績を称えて、インテルはサネッティの「4番」を永久欠番にするだろう。故ジャチント・ファッケッティの「3番」のように。
 
 2014年5月10日現在で、サネッティは公式戦856試合に出場し、21ゴールを挙げている。この数字をさらに掘り下げると、彼のキャリアの濃密さがよく分かる。セリエAは613試合・12ゴール、コッパ・イタリアは71試合・3ゴール、そして欧州カップ戦は159試合に出場して5ゴール。さらに、イタリア・スーパーカップ、UEFAスーパーカップ、クラブワールドカップ、そしてセリエAのプレーオフと、ありとあらゆるコンペティションを経験している。
 
 この実績を上回るのは、パオロ・マルディーニくらいのものだろう。ミランの偉大な元キャプテンは、902試合・33ゴールという記録を残している。ただ、バンディエーラとしての存在感では、サネッティはこのマルディーニにもまったく引けを取らない。
 
 サネッティにとって初めてのタイトルは、98年のUEFAカップ(現ヨーロッパリーグ)優勝だった。パリでの決勝戦、ラツィオを相手に豪快なミドルシュートを突き刺し、優勝を手繰り寄せる貴重な追加点を奪った。
 
 本拠地サン・シーロでの最後の公式戦(セリエA37節)の相手は、奇しくもそのラツィオだ。偉大なキャリアの締めくくりに相応しいストーリーラインだろう。残念なのは、そのラツィオ戦のゴール裏スタンドが閉鎖されてしまったことだ。35節のナポリ戦で、一部のインテリスタがナポリのサポーターに向かって、地域侮蔑の意味を込めたチャントを合唱した行為に対する処分だ。
 
 思えば、サネッティにとって5月は歓喜に満ちていた。ジョゼ・モウリーニョの下、サンチャゴ・ベルナベウでチャンピオンズ・リーグを制し、3冠の偉業を達成したのは、10年の5月だった。そのほかにも数々のタイトルを獲得し、その喜びをファンと分かち合った5月に、彼は栄光に満ちたキャリアを終える。
 
ハビエル、心からの敬意と祝福をあなたに!
 
インテル
【記者】
Salvatore RIGGIO|MESSAGGERO
サルバトーレ・リッジョ/メッサッジェーロ
1983年ミラノ生まれ。データスポーツの編集員を経て、現在は一般紙『メッサッジェーロ』のスポーツ担当としてミラノ地域を受け持つ。インテルのみならずミラン、さらに両チームの下部組織も精力的に取材し、評価を高めている若手記者の筆頭。
 
【翻訳】
神尾光臣
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