久保裕也がスーパーゴールの舞台裏を明かす「感覚で行けたのは良かった」

2017年11月26日 中田徹

味方にパスを出そうとした中で生まれたゴラッソ。

得意のドリブルからスーパーゴールを決めた久保。そのプレーにはこれまでになかった変化も見られている。 (C) Getty Images

 ベルギーリーグ第15節を終えた時点で、10位のヘントと11位のエクセル・ムスクロンの勝点はともに19。そのため、現地時間11月24日の両チームの対戦(16節)は、勝った方がプレーオフ1(上位6チームによる優勝、CL出場権などを懸けたプレーオフ)に近づく重要な意味を持ったものだった。
 
 それだけにヘントのトップ下として先発出場した久保裕也も、「だいぶ気合が入ってました」と闘志を漲らせていた。
 
 この試合で、センターフォワードを務めたのはスピードに定評のあるママドゥ・シラだった。イベス・ファン・デル・ハーゲ監督は戦前、久保に対して、「シラにスルーパスを出せ」と指示を出していたという。
 
 1-1で迎えた39分、ハーフウェーラインを越えた位置でボール持った久保が、真っ先に探したのはシラだった。
 
「監督から『シラにスルーパスを出せ』と言われていて、あのシーンも出すつもりでドリブルをし始めて、タイミングを見計らっていたんですが、相手がシラ(のパスコース)を切っていたので出せなかった。周りのサポートも無かったし、自分で行くしか無いという感じでした」
 
 ここから、久保はビッグプレーを生み出す。

 およそ40mの距離をドリブルし、相手2人を右足、左足、インサイド、アウトフロントを巧みに操ってかわしていく。そして、最後は2人の敵の間にコースを見つけてシュートを放ち、ゴールキーパーの指先をかすめながらゴール右隅に今シーズン5ゴール目を決めたのだ。
 
 この一撃は、ベルギーのスポーツウェブサイト『Sporza』が、「これは誰だ。久保か、メッシか」と感嘆したほどの、スーパーゴールだった。久保は次のように振り返る。
 
「一瞬で『行こう』と(パスからドリブルに)切り替えてから、感覚で行けたので良かったです」
 
 さらに久保は2-1となった74分にディラン・ブロンのゴールをアシストして、試合を決定づけた。このプレーについて本人は、「あれはもう僕のアシストと言うか、シュートが良かった。アシストが付いてラッキーです」と味方を讃えた。
 
 結局、3-1で勝利したヘントは暫定ながら、得失点差でゲンクを抜いて、プレーオフ1圏内の6位に浮上した。
 

次ページ「泥だらけになって点が獲れるなら…」(久保)

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