【現地発】プレーも人間性も一級品! 遅咲きのドイツ代表FWシュティンドルが示す独自の流儀

2017年11月25日 中野吉之伴

「僕は試合にどんどん絡んでいきたいタイプ」

ドイツの無敗記録を継続させた土壇場での同点ゴール。若い選手が次々に台頭してくる代表チームにおいて、十分に経験を積んだ上で初キャップを刻んだシュティンドルは、チームに多くの恩恵もたらせる存在と言えよう。 (C) Getty Images

 ドイツ代表は2017年を無敗のまま終えることとなった。
 
 今年の最終戦となった11月14日のフランスとの親善試合(2-2)では終了間際まで相手にリードを許し、記録は途絶えるかと思われたが、アディショナルタイム3分、途中出場のラース・シュティンドルがマリオ・ゲッツェのアシストからゴールを奪った。


「僕のゴールでチームを助けることができて良かった。でも、あのゴールは(メスト・)エジルとゲッツェの素晴らしいアシストによるもの。最後に、自分たちのプレーが報われた。強豪相手に、良い試合ができたと思う。僕個人としては、代表チームでうまくいった1年だった」
 
 シュティンドルは遅咲きの選手と言えるだろう。代表デビューは、今年のコンフェデレーションズカップ前に行なわれたデンマークとの親善試合。28歳での初招集だった。
 
「代表のユニホームを着て、スタメンで試合に出られたのがすごく嬉しかった」と振り返るシュティンドルに対して、監督のヨアヒム・レーブは「ラースは相手の守備のあいだでプレーする才能を持った選手だ。技術的に高いレベルにあり、常にしっかりとしたパスを出せる」と、高く評価していた。
 
 その後、コンフェデ杯の決勝戦でドイツを優勝に導くゴールを決めたシュティンドルは、その後も代表チームに継続して招集され、いまや欠かせない戦力になりつつある。
 
 代表チームでの活躍は、所属クラブのボルシアMGでの好調さにも繋がった。「代表で学んだことを、可能限りすぐチームに還元して、ピッチ上で表現したいんだ」と語るシュティンドルは、ブンデスリーガ全体でもバイエルンのヨシュア・キミッヒに次いで2位となる走行距離を誇る。
 
「今シーズンは欧州カップ戦がないことも、フィジカルコンディションが良いことの理由かもしれない。でも、以前から僕は、試合にどんどん絡んでいきたいタイプだった。攻撃だけではなく、守備でも貢献していたい。だから、今後も走り続けるよ」と『ビルト』紙のインタビューに答えていた。
 
 FWとして前線で待っていても、なかなかボールが出てこない場合がある。そんな時、ボールを受けに下がってはダメだ、という話をよく耳にする。下がると、大事な時にゴール前に選手がいなくなるから、という理由からだ。
 
 だが、シュティンドルの考え方は違う。ボールが来ないのなら、一度下がってゲームメイクを助け、そこからまた走ってゴールチャンスにも絡めばいい――。

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