【選手権出場校】千葉・流経大柏|市船エースを封殺したU-18代表DF、長崎総附の大会No.1FWに宣戦布告!

2017年11月23日 平野貴也

試合を通じて相手エースとの空中戦に完全勝利。

空中戦で競り合う、関川(5番)と福元。流経大柏は2年生CBが堅守の軸となった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 ボールが飛べば、必ず流経大柏の関川が跳んだ。エースの福元を抑えられた市立船橋は攻め手を封じられた。
 
 第96回全国高校サッカー選手権大会の千葉県大会決勝が23日に行なわれ、インターハイ王者の流経大柏が2-1でプロ内定3選手を擁する市立船橋を下して、3年ぶり5回目の全国大会出場を決めた。
 
 互いに手の内を知り尽くし、必ず後半勝負のプランを持って臨む一戦だが、均衡は早い段階で崩れた。12分、流経大柏は左MF鬼京大翔が相手2人の間を突破。クロスのこぼれ球を背番号10の菊池泰智が押し込んで先制に成功した。
 
 その後は、やや引いて守る流経大柏に対し、市立船橋が押し返す展開となった。ただ、最前線にロングボールを送りつつ、2シャドーが背後への抜け出しを図るという市立船橋の攻撃は、何度かシュートシーンを迎えたものの、迫力は半減していた。FW福元友哉(3年・岡山入団内定)が、流経大柏のストッパー関川郁万(2年)に抑え込まれたからだ。
 
 関川は、試合を通して福元との空中戦で完全勝利。後半終了間際に追加点を奪った後、ロングスローを相手選手と競り合ってボールに触れず、抜けたところを押し込まれて失点したシーンはあったが、試合後には「ヘディングが一番の売り。跳ね返せなかったせいで失点したのは課題だけど、福元選手を相手に全部跳ね返せたのは、自信になった」と笑顔を見せた。
 
 ひとつの手法を完全に消してしまえば、本来は揺さぶるための攻撃方法も予測して対応できるようになる。得意の裏抜けや、足もとでのポストプレーも狙った福元だったが「得意の裏抜けもできずに空中戦も負けて、良さを何も出せずに攻撃のリズムを作れなかった。相手が空中戦で強いのは分かっていたので、自分の持ち味である裏への抜け出しでストレスを与えたかったけど、味方を呼び込むと裏を消して来たし、足もとへのボールもボランチに読まれてコースを消された」と消化不良に終わってしまった展開を悔しがった。

 関川はU-18日本代表も経験しており、来季にはJクラブによる争奪戦が予想される実力派。インターハイでは、得意のヘディングでゴールを量産して得点王争いに加わって優勝に貢献したが、冬も要注目だ。
 
 関川は、全国大会に向けて「インターハイ王者ですし、全国に出なければいけないと思っていた。Aブロックでもう一度、長崎総科大附とやって安藤瑞季選手に決められないようにしたいですね。きついですけど。あんなに走るチームはない。でも、自分を(世間に)売るには一番良い相手」と語った。
 
 名指ししたのは、大会ナンバーワンストライカーの呼び声高い、U-20日本代表候補のFW安藤。インターハイの準々決勝で対戦した際には、点を奪われている。対人戦は、オレが最強だと証明したい――ギラギラとした目が、そう訴えていた。
 
取材・文●平野貴也(フリーライター)

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