イタリア敗退で針のムシロの連盟会長がインタビューで涙「4日もちゃんと寝られていない」

2017年11月20日 サッカーダイジェストWeb編集部

全責任を監督に押し付けて辞任は拒否。

予選敗退の全責任を指揮官のヴェントゥーラ(右)に押し付け、イタリア・サッカー連盟会長の座に居座るタベッキオ(左)。連盟内にも辞任を求める声は少ないが。(C)Getty Images

 60年ぶりにワールドカップの出場権を逃したイタリア。チームを率いたジャン・ピエロ・ヴェントゥーラは11月15日に解任されたが、そのヴェントゥーラを代表監督に任命したイタリア・サッカー連盟(FIGC)のカルロ・タベッキオ会長に辞任の意思はなく、今後も任期をまっとうする考えだ。

 もちろん、世間の目は厳しい。イタリア・スポーツ界を統括する五輪委員会のジョバンニ・マラゴー会長も、タベッキオ会長の辞任を求めているひとりだ。だが、タベッキオ会長は現地時間11月20日の連盟会議で今後に向けた改善案を提示し、幹部の信任を得ようとしている。

 タベッキオ会長自身も、今回の予選敗退にはひとりのイタリア人として心を痛めている。テレビ番組「Le Iene」のインタビューでは、「私もまったく穏やかな気持ちではない。4日前からちゃんと寝られていないんだ」と胸中を吐露。途中涙ぐむところまで見せた。イタリア紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』が伝えている。

 そのうえでタベッキオ会長は、すべての責任をヴェントゥーラに押し付けた。

「すべて彼の責任だ。スウェーデンとの対戦では、明らかにメンバーの選択を間違えていた。どうしてロレンツォ・インシーニェをプレーさせなかったのか。我が国がワールドカップに出られないなど、絶対にあってはならないことだ」

 また、「ヴェントゥーラを選んだのはたしかに私だ」と任命責任について言及しつつ、第一候補は別の指揮官だったとも口にした。

「当時の状況に基づいて(ヴェントゥーラに)決めた。招聘可能だったのは、ヴェントゥーラ、ジャンニ・デ・ビアージ(現アラベス監督)、ヴィンチェンツォ・モンテッラ(現ミラン監督)の3人で、選手たちの考えも考慮して選んだんだ。ちなみに私の第一希望はロベルト・ドナドーニだった。でも、ボローニャに反対されてしまってね」

 代表監督の選出について、先述のマラゴー五輪委員会会長は20日のテレビ番組「Che tempo che fa」で、ヴェントゥーラをダベッキオに推薦したのは、代表チームのテクニカルコーディネーターに就任するはずだったマルチェッロ・リッピ元イタリア代表監督(現中国代表監督)だと明かしている。

「タベッキオはドナドーニを考えたが、彼はボローニャと契約していた。そこで中国から戻る用意があったリッピはどうかという話になり、私とタベッキオで彼に会ったところ、テクニカルコーディネーターにならなってもいいと言われたんだ。そのリッピが挙げた代表監督候補が、ヴェントゥーラ、デ・ビアージ、モンテッラ、ルチアーノ・スパレッティの4人。そして彼は、『ベストはヴェントゥーラだ』と言ったんだ」

 だがその後、リッピの息子ダビデが代理人業をしていることが規則に抵触すると問題になり、リッピのテクニカルコーディネーター就任が破談に。イタリア代表はヴェントゥーラの"片肺飛行"でスタートした。

 そのヴェントゥーラ監督についてタベッキオ会長は、「すべて彼の責任。彼がスタッフを選び、すべてをやった。我々連盟は、決して政治的に干渉したりしなかった」とも述べている。

 だがイタリア・メディアによると、連盟内部でも「続投支持派」は減りつつあるようだ。タベッキオ会長の進退が決まらなければ、イタリア・サッカー復権に向けたリスタートを切ることはできない。

 カルチョの国のトップに立つFIGCの幹部たちは、どのような決断を下すのだろうか。
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