プレーできるが、勝負ができない日本勢――ACLで苦戦を続ける理由

2014年05月08日 熊崎敬

広州に勝てないのは「外国人格差」。

わずかな隙がACLでは致命傷に。セレッソは大量5失点を喫し、ホームで広州恒大に惨敗した。 (C) Getty Images

 1勝2分け6敗、9得点・25失点。
 
 これは日本勢と、中国王者にしてアジア王者の広州恒大とのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)での対戦成績だ。年間予算100億円を超える金満広州に、Jリーグ勢はまったく歯が立たない。
 
 Jリーグ勢はなぜ、広州に勝てないのか。
 
 その最大の要因は、外国人格差だ。
 
 広州は11年の昇格以降、バリオス、コンカ、ムリキ、エウケソン、ディアマンティといった南米、ヨーロッパの働き盛りの実力者を雇ってきた。Jリーグ勢との対戦では全25ゴール中、実に22ゴールを、この頼もしい傭兵たちが叩き出している。
 
 長居の一戦では、ワールドカップ得点王のフォルランに打倒広州の期待がかかった。だが、1アシスト止まり。反対にムリキ、エウケソンに4ゴールを決められた。結果は、1-5の惨敗だ。
 
 日本勢は、もう何度も同じ失敗を繰り返している。
 
 ここからなら撃たれないだろう、という距離や角度、体勢からシュートを決められている。セレッソもセンターバックふたりがわずかな隙間をムリキに抜けられ、あっさりと先制点を失った。
 
 こういうのはJリーグなら事故にならずに済むかもしれないが、広州の外国人は見逃してくれない。これがレベルの違いだ。
 
 こうした失点の数々が物語るのは、Jリーグのセキュリティーの甘さだ。日頃、高いレベルで切磋琢磨していないため、強烈な外国人が出てくると戸惑ってしまう。思考が停止して、ファウルで止めることもできない。これではカモにされる。
 
 ムリキやエウケソンは「日本人はなんてお人好しなんだ」と思っているのではないか。

次ページミスの続出は決して偶然ではない。

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