大宮・石井新監督が涙を浮かべ決意。“古巣”の窮地救うべく伝統の「堅守速攻」回帰へ

2017年11月08日 サッカーダイジェストWeb編集部

「もう少しシンプルにゴールに向う形を作りたい」

残り3試合で大宮の指揮を執ることとなった石井新監督。どのような采配を見せるだろうか。(C) SOCCER DIGEST

 J1残留争いの渦中に身を置き、残り3試合となった段階で伊藤彰監督と松本大樹強化本部長を解任した大宮は、いかなる方策で残留を目指すのか――。衝撃の人事発表から2日後の7日、石井正忠新監督の下で初練習が行なわれ、練習後には新監督と新たに就任した西脇徹也強化本部長が森正也社長とともに記者会見に臨んだ。

 
 森社長は、石井監督との契約に関して、来季以降の見通しについては明言せず「3試合でどうやって残留するかの一点。この思いを遂げるための就任、残留のための交代」とシーズン最後のリーグ中断期間に大ナタをふるった理由を説明した。
 
 残り3試合で残留圏15位の甲府との勝点差は4。最悪の場合は次節にも降格が決まるという状況でチームを任された石井監督は、先発の陣容や基本布陣を大きく変える考えはないと話し「守備は、全体が連動する形をもっと作り上げなければいけない。攻撃は、少しポゼッションはできると思うんですけど、時間をかけた攻撃が多くなっていると思うので、もう少しシンプルにゴールに向かうような形を多く作る。前の方に能力のある選手がたくさんいるので、その選手を生かせる形を作って、3試合勝ち切る形を作りたい」と立て直しの方針を明示した。翌日から取り組む戦術練習では、守備の強化に取り組むという。
 
 監督交代により、戦い方が変わりそうだ。簡潔に言えば、大宮は過去の戦い方に戻る。2015年に初めてJ2へ降格するまでの10年間、常に残留争いに巻き込まれながら生き残った大宮の伝統は「堅守速攻」だ。今季中に解任された渋谷洋樹、伊藤の両監督は、攻撃重視を打ち出していた。ともに、攻撃時にポジションチェンジを多く行ないながらボールを保持することで相手の守備に混乱を生み出して隙を突くスタイルを採用して来た。大宮は、クラブ内で長い時間を過ごして来た指導者を起用し、攻撃を重視したスタイルの追求に取り組んできたが、路線を変更して残留を目指すことになる。
 

次ページ「応えないわけにいかない」古巣を助ける使命感を漂わせる。

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