J3降格に崖っぷちの山口。6バックの奇策が失敗も勝点3を掴んだ理由

2017年11月05日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

2試合ぶりに勝利を収めた山口。6バックを解いた後半は勇猛果敢に攻めこんだ。

J2残留に向け、大きな1勝を上げた山口。残り2試合も勝利が必須だ。写真:徳原隆元

[J2リーグ40節]東京V 1-2 山口/11月5日/味スタ

 山口がJ2残留に向け、大きな1勝を掴み取った。
 
 東京Vとのアウェーゲームに挑んだ山口は、試合開始前の時点でJ3降格圏内の21位。19位の讃岐、20位の熊本とは勝点6ポイント差で、この試合の結果いかんでは、J3降格圏内の21位以下が決まる。J3の昇格チームがJ2ライセンスを持っていなければ、21位でも降格を免れる可能性もあるが、山口としては自力で残留可能な20位を目指しかない。つまり、残り3試合はすべて勝たなければいけないという状況だ。
 
 絶対に負けられない。確固たる決意を持って迎えた一戦は、2‐1の逆転勝ち。前半にリードを奪われたが、72分にオウンゴールで同点に追いつくと、74分には小野瀬康介の右クロスがそのままゴールに吸い込まれて試合をものにした。
 
 試合後、カルロス・マジョール監督は振り返り、このように話した。
「前半を無失点で終えることがゲームプランでした。前半を無失点で終えて、後半に勝負を仕掛けようと。なので、レオナルド・ラモスのワントップで挑みました」
 
 山口は前節まで採用していた「3‐5‐2」を封印し、この試合はマンツーマンディフェンスを取り入れた守備重視の「4‐4‐1‐1」でスタート。J1昇格プレーオフ圏内を目指す東京Vを相手に、手堅い布陣で臨んだ。

 しかし、そのゲームプランは早々に崩壊。13分に高木善朗のシュートがアンラッキーな形で決まってしまったのだ。その後も東京Vにボールを支配され、前半はまるでらしさを出すことができなかった。

 では何故、劣勢の状況から試合をひっくり返せたのか。それには理由がある。

 山口はまず、後半の頭からFWを2枚投入し、攻勢を仕掛けた。岸田和人と大石治寿をピッチに送り込み、布陣を本来の「3‐5‐2」に変更。この交代をきっかけに前への圧力が高まり、引いて守るだけのサッカーではなくなったのだ。
 
 もともと、前半は我慢し、後半勝負という戦略を描いていたというマジョール監督。前半をスコアレスで折り返した場合は、15分からアタッカーを投入することを想定していたという。ただ、先に失点を喫したことで、選手交代のタイミングが早まった。チームはプランの修正を余儀なくされたが、結果的に戦い方が明確になり、2つのゴールにつながった。
 
 残りは2試合。20位の熊本が敗れたため、この日の勝利で勝点差は3ポイントとなった。東京V戦のようなアグレッシブな姿勢が今後も見られれば、降格圏からの脱出も不可能ではない。
 
取材・文 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB編集部)

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