残留争いの真っ只中。広島が生き残るためのキーマンは稲垣祥だ!

2017年10月22日 寺田弘幸

「腰が引けたサッカーはしない」が青山敏弘との合言葉。

インサイドハーフで輝きを放った稲垣祥。持ち前の運動量はまさに衰え知らずだ。(C)SOCCER DIGEST

[J1リーグ30節]広島 0-3 川崎/10月21日/Eスタ

 雨が降りしきるエディオンスタジアムに川崎を迎えた一戦。降格圏に沈む広島は首位・鹿島の背中を追い掛ける川崎に果敢に向かっていったが、稚拙なミスを犯して失点を重ねて敗北を喫した。戦術うんぬんを語る以前に見つめ直すべき点が多いショッキングな敗戦となったが、希望を見出したくなる働きを見せた選手もいる。攻守に躍動感のあるプレーを見せた紫の背番号15、稲垣祥だ。
 
「アオさんとも『腰が引けたサッカーは絶対にしないよ』と話していた。それは今週の頭から言っていたので、ガツガツ行くつもりで腹をくくってやっていた」(稲垣)。

 インサイドハーフで起用された稲垣は、ピッチの上で言葉通りの覚悟を示した。ゴール前に飛び込んだかと思えば、すぐさま切り替えてボールを奪いに走り、長い距離のプレスバックも怠らない。両チームでひとりだけ12キロを超える距離を走った男はピッチのどこにでもいる印象を与えるほどで、とりわけ0-0の時間帯は相手を存分に苦しめていた。
 
 ただ、その動きができたのは、ヤン・ヨンソン監督が前節・鹿島戦から4-1-2-3にシステムを変更したからだ、アグレッシブにボールを奪いに行くことを求めたことで、稲垣の長所はより引き出されるようになった。自身でも新システムに好感触を得ており、「手応えはあります。それは間違いない。結果を置いておいて内容を見るのであれば、すごい可能性があるシステムだと思います」と語る表情は自信に満ちていた。
 
 だからこそ、稲垣は結果に一喜一憂しない重要性を説く。
 
「もちろんプロとして結果が大事だし結果を出さないといけないけど、結果だけを見すぎて変えていくってことをやり過ぎていたら、自分たちのベースとかチームカラーとか、そういったものがむちゃくちゃになってくる。軸をしっかりと置いておいて、その周りの部分を修正することが大事かなと思います。結果に一喜一憂していたらいい方向にはいかない。もちろん結果を出さないといけないんですけど、そう感じます」

次ページ「チームの方向性がブレずにひとつに向いていることがとにかく大事」(稲垣)。

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