【番記者通信】メッシ、ロセイ、ネイマール…3連敗にあった3つの要因|バルセロナ

2014年04月22日 ルイス・マルティン

「史上最高のチームを壊した男たち」

CLは準々決勝、国王杯は決勝で敗退。34節のビルバオ戦に勝って連敗は止め、リーガは暫定2位に浮上したが、かつての力強さは感じられない。 (C) Getty Images

 バルサが3連敗を喫した。かつて世界の頂点にいたチームは、アトレティコ・マドリー(CL準々決勝)、グラナダ(リーガ・エスパニョーラ33節)、レアル・マドリー(国王杯決勝)に立て続けに敗れ、主要タイトルをほぼ確実に逃すことになった。その理由は大きく3つある。リオネル・メッシ、サンドロ・ロセイ、そしてネイマールだ。

 ひとつ目の問題は、メッシのコンディションだ。いまのメッシは明らかにそれまでのメッシではなく、バルサは最後の局面で決定的な仕事をしてくれるタレントを失った。メッシこそが、「好チーム」と「最高のチーム」を分ける違いなのだ。いまのバルサは、どこにでも見かけるただの「好チーム」に過ぎない。足りないのはメッシの得点で、3連敗はその不調が最大の原因である。メッシはもはや以前のメッシではなく、かつてそこにいた偉大なる選手の幻影だ。最高のメッシを取り戻すために、なんらかの対策が必要だろう。

 最近、地元バルセロナで流行っている画像がある。1枚目には元会長のジョアン・ラポルタ、元SDのチキ・ベギリスタイン、元監督のジョゼップ・グアルディオラがいる。付けられたタイトルは、
「史上最高のバルサを作った男たち」
 2枚目に写っているのは、前会長のロセイ、現SDのアンドニ・スビサレータ、現監督のヘラルド・マルティーノの3人だ。タイトルは、
「史上最高のチームを壊した男たち」

 事実、ロセイはクラブの病巣だった。ペップ・グアルディオラが「からっぽ」になり、ニューヨーク行き(1年間の休養を過ごした先)を決意したとき、ロセイは全力で引き止めようとしなかった。むしろ、お抱えの記者やメディアを通じてペップを攻撃さえした。かつてホセ・ルイス・ヌニェス元会長が、ヨハン・クライフにしたように。そして「ネイマールゲート」事件(ネイマールの移籍金をめぐる横領・脱税疑惑)が発覚すると、臆病者のように逃げ出している。その頃にはすでに、1年間の補強禁止処分を受けることが内部では分かっていたという。ロセイの一連の騒動は、明らかにこの3連敗の遠因となっている。

 ネイマールの獲得は、高額の移籍金だけでなく、ピッチ上でも疑問を抱かざるを得ない結果となった。クライフは指摘していた。
「なにひとつタイトルを取っていない選手を、チームの最高給に位置づけるのは間違っている。シャビ、メッシ、イニエスタと同じランクに置くべきではない」

 21歳のネイマールはチーム内で最高給を得ながら、そのパフォーマンスはいまのところ移籍金を含めた1億ユーロ(約140億円)の投資に見合うものではない。CBとダニエウ・アウベスの控えを獲得しなかったのは、シーズン終盤になって大きく響いた。言うまでもなく、マルティーノがチームを上手く機能させられなかったのも連敗に直結している。

 バルサの一時代は終わった。次の時代がやってくるのはいつになるのだろう。今シーズンのタイトルはスーパーカップだけ。CLではここ7年で初めてベスト4を逃し、国王杯は決勝で敗れ去った。リーガ連覇もほぼ不可能だ。これを悲劇と言わずしてなんと言おう。

【記者】
Luis MARTIN|El Pais
ルイス・マルティン/エル・パイス
スペインの一般紙『エル・パイス』のバルセロナ番とスペイン代表番を務めるエース記者。バルサの御用新聞とも言えるスポーツ紙『スポルト』の出身で、シャビ、V・バルデス、ピケらと親交が厚く、グアルディオラ(現バイエルン監督)は20年来の親友だ。

【翻訳】
豊福晋
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