金田喜稔がハイチ戦を斬る!「絶対に勝たなければいけない試合。なぜ“教訓”を生かせない」

2017年10月10日 サッカーダイジェスト編集部

前半は日本のリズムでゲームを組み立てられたが…。

前半こそ自分たちのリズムでゲームを組み立て、倉田の先制点など大量得点の匂いもあったが……。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[キリンチャレンジカップ2017]日本 3-3 ハイチ/10月10日/日産スタジアム

 絶対に勝たなければいけない展開だった。2点を先行しながら一時は逆転された。最終的に引き分けまで持ち直したが、ハイチのコンディションを考えれば猛反省すべきだ。
 
 前半は自分たちのリズムでゲームを組み立てられていた。7分に倉田秋、17分に杉本健勇と国内組が得点し、「これは大差がつくかもな」とすら思わせる流れだった。
 
 左ウイングの乾貴士、左インサイドハーフの倉田、左サイドバックの長友佑都でサイドを制圧できており、その時間帯では日本のリズムを作れていたと思う。先制弾はこの左サイドからのものだった。
 
 確かに様々な選手を試す場であるため、長友に代えて車屋紳太郎を投入したり、香川真司を倉田との交代で送り出したことは理解できる。ただ、それによって優勢だった左サイドのバランスが崩れてしまったのは気になる点だ。

 個人的に注目していた小林祐希は、数多くボールに触り、ワンタッチやツータッチで捌けていた。しかも、それで終わるのではなく、DFとDFの間にポジションを取り直して、再びパスコースを作る。攻撃面で言えば、アピールは成功だろう。
 
 ただ、守備面で拙さを披露するシーンもあった。例えば28分の1失点目。日本はペナルティエリアを空けてしまったわけだが、そこに向かって相手ボランチが長い距離を走って侵入してきた際に、小林の対応が後手に回ってしまった。
 
 そこまでスピードがあるわけではないのだから、攻められている状況はもちろん、次に何が起こりそうなのか、どこが危険で、誰がそこを使いそうなのかを予測して動いてほしかった。
 
 では、あの失点は小林だけの問題だったのかと言えば、それもちょっと違う。位置関係からケアが間に合っていないのが見えた時に、酒井高徳は内に絞らなければいけなかった。
 
 それを見るだけで、コンビネーションがまだまだ成熟していないなという印象だ。きっとブンデスリーガならば、味方ボランチが振り切られることなく1対1でなんとかしてしまうのだろう。酒井高には「そこはお前の担当だろ」という気持ちがあったのかもしれない。

 攻撃から守備への切り替えの時に味方の態勢が整っておらず、そこを突かれて、相手の身体能力の高い3列目の選手が勢いよく飛び込んでくるシーンは、きっとロシア・ワールドカップでもある。
 
 中盤の選手が前掛かりになっている、または釣り出されてしまってケアできないのであれば、サイドバックがいち早く危険を察知して、外を捨ててでも絞り切ってほしい。

 いずれにせよ、あの失点は、中盤3枚の切り替えの遅さと、最終ラインの危機察知能力の欠如に起因している。日本が世界と伍するために、改善すべきポイントだ。

次ページコントロール力が、微塵も見えなかったのは残念だ。

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