ルヴァン杯の存在意義を問う①――「欧州プレシーズンに便乗した新たな大会の創設を」

2017年10月03日 西部謙司

「リーグ戦の〝組み替えジャンケン〞にすぎない」

昨年、ルヴァンカップを制覇した浦和レッズ。決勝になれば注目を集めるが、実際のところそれまではあまり盛り上がらない印象を受ける。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

 ルヴァンカップの準決勝が、10月4日と同8日に開催される。来年からはJ2に降格した2クラブの参戦が決定するなど改革も進むが、なお問題点の多いリーグカップの存在意義について、サッカージャーナリストの西部謙司氏に見解をいただいた。
 
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 多くの国で開催されているリーグカップだが、およそ影の薄い存在になっている。
 
 もっとも価値が高いのはリーグ戦で、イングランドのFAカップなど、リーグ戦に先駆けて創設されたノックアウト方式のカップ戦には伝統がある。このふたつに比べると、リー グカップはいかにも中途半端だ。さらにそれぞれの大陸のカップ戦(チャンピオンズ・リーグ、ACL、コパ・リベルタドーレスなど)もあるため、「日程を圧迫する要因」と否定的に見られがちだ。
 
 さすがに決勝になれば注目を集めるとはいえ、それまではあまり盛り上がらない。所詮はリーグ戦の〝組み替えジャンケン〞にすぎないから新味がなく、平日開催というハンデもある。ヨーロッパではあからさまにメンバーを落として臨むチームが少なくないし、ファイナルのためだけにやっているような感さえある。それでもリーグカップが存続しているのは、試合数をこなさないとクラブの収入が減ってしまうという、興行上の理由が一番だろう。

 Jリーグでは日程の問題が議論の俎上(そじょう)に載せられて久しい。日本の真夏は蒸し暑く、真冬は降雪もあるから試合をやるには適していない。そこを避けてなんとか詰め込んでいるわけだが、過密日程の負担を軽減するなら、真っ先に切り捨ての対象になるのがリーグカップだろう。ただ興行上、簡単にはやめられない。となると、日程を圧迫せず、興行的に も上手くやれて、なおかつできれば開催意義を見出せるような方法を模索する必要がある。
 
 近年、ヨーロッパのオフ期間には、アメリカを中心にインターナショナル・チャンピオンズ・カップ(以下ICC)というプレシーズンの大会が行なわれている。レアル・マドリー、バルセロナ、ユベントス、マンチェスター・ユナイテッド、パリ・サンジェルマンなどビッグクラブが参加し、今年は中国、シンガポールでも数試合が開催されて盛況だった。
 
 ならばルヴァンカップを発展的に解消し、ICCに便乗した新たな大会を創設してはどうだろうか。

次ページ存在意義、興行面、過密日程の緩和、いずれを考えてもベターな方法がある。

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