【セルジオ越後の天国と地獄】狙いや効果が分からない候補合宿

2014年04月17日 週刊サッカーダイジェスト編集部

サバイバルを煽るのはマスコミの勝手な解釈。

練習試合でゴールを奪った川又がアピールに成功した――そんな報道に、セルジオ氏は疑問を呈す。 (C) SOCCER DIGEST

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 4月上旬の日本代表候補合宿に、セルジオ越後が物申す。

※週刊サッカーダイジェスト4.29号(4月15日発売号)より

 4月7日から9日まで3日間のスケジュールで、日本代表候補キャンプが行なわれたね。

 新聞には「サバイバル」とか「最終オーディション」なんて見出しが踊っていたけど、それはマスコミが勝手に付けたネーミングであって、ザッケローニ監督が今回のメンバーからワールドカップに連れて行く選手を選ぶと明言したわけじゃない。だから、僕にはちょっと的外れな気がしたよ。

 合宿が終わった今でも僕は、今回の本当の狙いが分からなかった。

 少ない回数だけどすでに代表に呼ばれた経験のある青山や齋藤、工藤、柴崎らのポテンシャルが高いのは僕にも分かる。川又や塩谷、南野といった初めて呼ばれた選手たちが可能性を秘めていることも理解している。

 だから、このような合宿が2月に行なわれ、「サバイバル」や「オーディション」を通過したものが3月5日のニュージーランド戦で試されたというなら納得がいくんだ。そして、そこでアピールに成功した者がワールドカップメンバーに選ばれる可能性を残しながら5月12日の発表を迎えるというのが、普通の流れだと思う。

 合宿の最終日にザッケローニ監督は、こんなことを言ったそうだ。

「各々のクラブであればチームメイトとの関係に慣れているから、素早いコンビネーションやスムーズな流れでプレーができると思うが、慣れていないメンバーの中に入っても素早いコンビネーションが出せるのかどうか。出せるのであればコンビネーションが得意な選手であるとか、そういったことを見極めるのが重要だと思っていた」

 だとするならば、なおさら慣れていない同士ではなく、遠藤や今野、柿谷といった主力メンバーと一緒にプレーをさせて、そこでも素早いコンビネーションを出せるのかを見極めたほうが、よっぽど有意義だったはずだ。

 それにボランチ、SB、CBのレギュラーメンバーに怪我人が多い今、改めて憲剛や駒野、伊野波、栗原といったそのポジションのベテランがどういうコンディションにあるのか、確認しておかなくて良かったのかという疑問がある。「ベテランのことは分かっている」とザッケローニ監督はよく言うけれど、コンディションやメンタリティは手元に呼んでみないと分からないものだからね。

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