かくしてアウェーゴール奪取は果たされた。柏木弾演出の興梠慎三と青木拓矢の狙い

2017年09月28日 寺野典子

「(失点は)相手の巧さを認めざるを得ない」(興梠)/「失点しても点を取りに行こうと話していた」(青木)

柏木の同点ゴールをアシストした興梠。裏を狙い続ける姿勢が結実した。(C) Getty Images

[ACL準決勝 第1レグ]上海上港 1-1 浦和/9月27日/中国・上海体育場

 ACL準決勝の第1レグ、浦和は破壊力抜群の上海上港を相手に、グループステージ時の対戦で採用した3バックではなく、国内でのここ数試合で採用している4バックで臨んだ。遠藤航、マウリシオ、阿部勇樹、槙野智章の4人の前には、アンカーとして青木拓矢が立つ。実質的には4-1-4-1のようなシステムだが、押し込まれた時には、4-3-2-1に変形した布陣で守る時間帯も少なくなかった。

 
 自陣に人数を割きながらも浦和のDF陣は1対1を恐れずにファイトしていた。しかし、15分、ボールを持ったフッキが青木をかわし、ドリブルで突進すると、ペナルティエリア手前からミドルシュートで先制点を決める。
 
「また先制点を許したのかとは思ったけれど、相手の巧さを認めざるを得ない得点だった」と興梠慎三が振り返る。彼自身は何度も裏へ抜ける動き出しを見せたが、オフサイドや相手の守備にそのチャンスを阻まれ続けていた。
 
 20分にはエウケソンが絶好機でシュートを放つが、GK西川周作が右手1本でファインセーブ。守護神の好守でピンチを凌ぐと、浦和にビッグチャンスがやって来る。27分青木からのループパスを受けた興梠が落とし、それを柏木陽介が右足でダイレクトシュート。浦和が貴重なアウェーゴールを奪い、同点に追いついた。
 
 柏木へラストパスを送った興梠が語る。
「青木からいいボールが来て、裏を獲れた。ただ落としが雑だったので、決めてくれてよかった。陽介や青木がボールを持った時は、足もとじゃなくて、裏を狙おうと思っている。僕のところで起点ができれば、チャンスが増えると思うので、青木にも要求している」
 
 確かに失点シーンに絡んだとも言えなくはない青木だったが、同点弾の起点となっただけでなく、疲労度の増した後半を無失点で逃げ切った浦和の攻守をコントロールし、うまくバランスをとっていた。なにより追加点を許さなかったのは大きい。
 
 青木が試合を振り返る。
「失点をしてしまったけれど、うまく切り替えられた。失点しないようにという気持ちもありましたけど、失点をしても、点を獲りに行こうというのは、試合前から話していたので、点を獲れたのは良かった。疲れもあって攻め込まれるシーンもあったけれど、自分たちでイニシアチブを握れていたと思うし、敵陣までボールを運べていたので、もっとシュートを打っていくべきだと思います」
 

次ページ興梠を援護するためにも青木からの縦パスや攻撃参加は重要な武器に。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事