継承される鹿島の伝統芸!CB植田直通が決めた「劇的決勝点」の舞台裏

2017年09月24日 サッカーダイジェスト編集部

日々意識を持ち続け、練習を重ねてきたことが、ひとつ結実した。

難敵・G大阪からアディショナルタイムに決勝点!植田が歓喜の雄たけびを上げた。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ27節]鹿島 2-1 G大阪/9月23日/カシマ

 何度も見たはずの光景が、久しぶりに目の前に広がった。
 
 1点を追う後半アディショナルタイムの右CK。土居聖真から両手のジェスチャーで声量アップを求められた真っ赤なスタンドは勝ち越し機を迎え、さらに大きく揺れた。それを前方にとらえながら植田直通は「俺のところに来い。絶対決める」という決意を胸に、ゴール前に向かった。願い通り永木亮太からボールが届き、相手DFの上を行くヘディングでゴール右に決めた。5連勝に導く、決勝点だった。
 
「かなりアドレナリンが出ましたね。なにより優勝したいとの想いが通じた。少し前に聖真さんがスタンドをあおって、かなりの応援が聞こえていた。盛り上げてくれて、テンションが上がった。決めてやる、そういう気持ちだった」
 
 今季は「ゴール数」にこだわり、1試合・1本のシュートをノルマに課していた。プロ入り後、まずは守備を磨くことに重点を置いた植田が初めて本格的に攻撃に目を向けた。
 
 きっかけは、鹿島の歴代センターバックたちだ。このクラブにはチームが苦しい展開、劣勢の時でもセットプレーになると、秋田豊、岩政大樹と得点力のあるセンターバックがゴールネットを揺らし、タイトルを積み重ねてきた歴史がある。そういう存在になることを目指して意識を変えたのだという。
 
 練習でセットプレーのキッカーと話すことが増えた。「昨年までは狙うのは大体という感じだったけど、今年からは狙いを持って練習からやれている。練習でも決める回数が増えてきていた」。今季2得点目。日々意識を持ち続け、練習を重ねてきたことが、ひとつ結実した。
 
 鹿島がタイトルを積み重ねられる理由はたくさんある。そのなかで植田を通して浮かんでくるのは、目指すべき手本が近くにいることが挙げられる。選手としてストイックな姿勢やトレーニング方法を学ぶことは他クラブでも聞かれるが、このクラブにはタイトルを獲ってきた選手がおり、勝つために必要なことを迷わず学べる。

次ページ2位・川崎との勝点差を8に広げたが、「油断していたら足をすくわれる」と気を引き締める。

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