「100億円」を懸けたサバイバル。プレミアの熾烈な生存競争の行方は!?

2014年04月11日 松澤浩三

プレミア残留か降格かは、文字通り死活問題。

収入格差が甚大なプレミアとチャンピオンシップ。今シーズンは、このサンダーランド(赤と白)とフルアム(白)が生き残りを懸けて戦っている。 (C) Getty Images

 トップリーグと下部リーグの格差が、イングランドほど大きなリーグはないだろう。プレミアリーグに残るか、2部に相当するチャンピオンシップ(フットボールリーグ・チャンピオンシップ)に降格するか、それは文字通りの死活問題だ。

 格差とは、つまりは収入の差だ。会計監査法人『Deloitte』が昨年公表した資料によると、今シーズンのプレミア優勝チームは、TV放映権料としておよそ9500万ポンド(約166億円)を受け取る。順位が下がれば分配金も下がる仕組みだが、最下位のチームでも約6000万ポンド(約105億円)の実入りがある。プレミアに属しているそれだけで、100億円以上の巨額が保証されるのだ。しかもそれはTV放映権料の話で、これにチケットやグッズの売上げが加わる。

 翻って、チャンピオンシップは、同じく『Deloitte』のデータによれば、1チームあたりの総収入は、平均で1600万ポンド(約28億円)ほど。しかも、TV放映権料やチケット売上げなどすべてをひっくるめた金額がこれで、プレミアとの収入格差は歴然としている。収入の大幅減を強いられる降格チームの即破綻を防ぐために、「パラシュート・ペイメント」という救済措置があるほどだ。

 パラシュート・ペイメントとは、降格チームをプレミアからチャンピオンシップへ“軟着陸”させるための補助金で、降格から4シーズン先まで総額6000万ポンド(約105億円)が支給される制度である。前述の1チームあたりの総収入は、このパラシュート・ペイメントを除いた平均額だ。

 プレミアの残留争いが熾烈を極めるのは、のっぴきならないこうした金銭事情があるからだ。

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