【U-18プレミアリーグ】強豪チームの現在地|青森山田編

2014年04月09日 安藤隆人

目標は20失点以内。『堅守強攻』の具現化を狙う。

青森山田
所在地:青森県青森市青葉3-13-40
創 立:1918年
創 部:1970年
主なOB:柴崎岳(鹿島)、橋本和(柏)、櫛引政敏(清水)、伊東俊(山形)など。
 (C) SOCCER DIGEST

 青森山田は毎年、4月初旬のプレミアリーグ開幕戦では苦戦を強いられる。2012年は鹿島ユースに2-2、昨年は三菱養和SCユースに0-0と、ドローに持ち込んでいるとはいえ思うようなサッカーができず苦しんだ。今年の開幕戦は終盤に追い上げたものの惜敗。最終的には尻上がりに調子を上げ、12年は4位、昨年は6位と健闘を見せるのだが、なぜ毎年こうした状況になるのか。それは雪国特有の理由からだ。

「毎年選手権後の1~2月は雪でグラウンドが使えず、体育館か雪上サッカーしかできない。3月中旬のサニックス杯がいつもフルコートでの初の試合となる。そうなるとなかなか試合勘を完全に取り戻して、戦術を浸透させることは難しい」

 黒田剛監督が語るように、豪雪地帯の青森の雪は非常にやっかいだ。人工芝グラウンドの積雪はゆうに1メートルを超え、ブルドーザーやトラックなどの重機を駆使して、「職員総出で」(黒田監督)やっと『横68メール、縦32メートル』の小さな緑のグラウンドが顔を出す。周囲は2メートル以上の雪の壁で覆われ、さながら『雪のコロッセオ』状態になる。そんな中で、彼らはパスゲームやセンタリングシュートを行なうが、3月に入っても雪はやまず、練習前に全員で雪かきをするなど、他の地域ではまずないような苦労を強いられる。

 そして、3月中旬のサニックス杯で『新生・青森山田』を披露するわけだが、毎年チームは当然のように苦戦を強いられる。今年はグループリーグこそ、四日市中央工に3-0、福岡U-18に3-0、鹿児島実に1-0と無失点で3連勝し、1位通過を決めながら、決勝トーナメントでは横浜ユースに1-2、東福岡に0-2で敗れ、6位に終わった。
「グループリーグは上手くやれたのに、決勝トーナメントでは4失点。これではいけないという危機感が増した」

 こう語るのは、青森山田では攻守の要を意味する背番号7を背負うMF山下優人。なぜ負けたことよりも失点したことを悔やむかといえば、今年のチームは『失点をしないチーム作り』を掲げているからだ。
「今年は昨年ほどチーム力が高いわけではない。だからこそ、プレミアリーグを戦い抜くためには、守備が大事になってくる。いかに失点を減らして、リスタートの精度を高められるか。目標は失点をリーグ全試合で20以内に抑えること。今年は後ろに大きな選手が3人いるし、サイドにはスピードのある選手がいる。彼らを活かして、3バックを採用した。堅守強攻のコンセプトが一番合うと判断した」

 黒田監督が語るように今季のポイントは守備で、186センチの常田克人、180センチの小坂悠登、184センチの菊池流帆を3バックに並べ、右に小笠原学、左には北城俊幸というスピードと運動量がある選手をウイングバックとして配置。3バックの対人の強さと、両サイドの攻守の切り替えの速さを活かし、堅守を構築するプランだ。攻撃は山下を中心に、ナンバー10を背負う丹代藍人と野口雄輝の2シャドー、1トップの松木駿之介の3人による、『中で作って、外で崩す』というカウンターがメインとなり、『堅守強攻』を具現化させようとしている。

次ページ3失点に課題を残すも、芽吹きつつあるゴールへの意識。

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