余裕がなかった日本代表。“コントロール”と名のつく要素でもサウジに上回られた

2017年09月07日 清水英斗

酒井宏は何度もタッチライン際を駆け上がる必要があったのか。

試合が終わった直後、酒井宏は真っ先にピッチに倒れ込んだ。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

[ロシアW杯アジア最終予選]サウジアラビア1-0日本/9月5日/キング・アブドゥラー・スポーツ・シティ

 8月29日のUAE戦から、中6日で日本との大一番を迎えたサウジアラビア。一方、日本は8月31日にオーストラリアと戦ってワールドカップ出場を決め、長距離移動を含む中4日でサウジアラビア戦を迎えた。
 
 コンディションに明らかな差がある。なおかつ、気温32度、湿度70パーセントの環境はサッカーをするには厳しい。スタジアムは屋根に覆われ、風も吹き込まない。こんなときこそ気合い!と言いたいが、消化試合でメンタルを奮い立たせるのも難しい。サウジアラビア優位の条件がばっちり整っていた。
 
 まともに戦えば、明らかに不利だ。だから、まともに戦わなくても済むように、いかにゲームをコントロールするか。その点に注目したが、やはりハリルホジッチの日本代表にとっては苦手科目だった。
 
 ゲームコントロールとは、簡単に言えば時間潰しだ。サッカーはゴールを獲るスポーツだが、ゴールを目指さない時間帯を意図的に作り、メリハリをつける。ボールをポゼッションしたり、守備ブロックを作って相手にボールを持たせたり。
 
 柴崎岳を中心に、前半はその意図が見られることもあったが、不充分だった。サウジアラビアはそれほど前からプレスに来ないので、ミドルゾーンに運んでしまえば、吉田麻也や昌子源がプレッシャーを受ける機会は少ない。しかし、ポゼッション率はサウジアラビアが54.3パーセント、日本が45.7パーセントで下回った。
 
 もっともっと回し続ければいいのに、やはり縦に行くのが速い。サイドチェンジが入ったら、その後はほぼ縦に仕掛ける。その結果、どんどん最終ラインから前線までの距離が開き、間延びした。この試合、勝たなければならないのはサウジアラビアだったが、まるで立場が逆に見えた。
 
 試合が終わった直後、酒井宏樹は真っ先にピッチに倒れ込んだが、無理もない。この猛暑の中で前半から何度も何度も、タッチライン際を駆け上がっていた。局面だけを見れば、良いプレー。だが、その必要があるのか、という話だ。

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