【番記者通信】“俳優”ルーニーに仕返しを|バイエルン

2014年04月03日 パトリック・シュトラッサー

ルーニー自身の気まずそうな態度が見て取れた。

シュバインシュタイガーを退場に追い込んだルーニーは、どこかばつが悪そうだったと、シュトラッサー記者は問題のシーンを振り返った。 (C) Getty Images

 オールド・トラフォードでの試合の翌日、マンチェスター空港でコーヒーをテイクアウトしたバスティアン・シュバインシュタイガーには、笑顔が戻っていた。チームメイトたちに元気づけられる必要もなかった。1-1で迎えた終了間際に2枚目のイエローカードを受け退場となったショックは消えていた。

 バイエルンの副キャプテン、シュバインシュタイガーにとってのチャンピオンズ・リーグ(CL)の準々決勝は、もう終わってしまった。退場のサスペンションで、4月9日のホームでの第2レグは出場できない。そのシーンは、ウェイン・ルーニーの一番良いシーンだった。90分、バイエルンはユナイテッドのペナルティーエリア内でボールを失い、ルーニーがカウンターを仕掛ける。シュバインシュタイガーは横から滑り込み、ボールに触れたが、ルーニーは飛び上がり、地面に倒れる際に2人は衝突した。

 バイエルン側はこの厳しすぎる決定を批判した。ルーニーの上手い演技だったか? 私はそうだと思う。というのも、ルーニー自身の気まずそうな態度が見て取れたからだ。シュバインシュタイガーと言い合いながらも、ルーニーは当惑し、それどころか責任を感じているようだった。この日、バイエルンでもっとも出来が良く、67分に貴重な同点ゴールを決めた選手を、不当な退場に追い込んでしまった、と。

 9日の第2レグでは、バイエルンは“俳優”ルーニーに仕返しをするだろう。勝利することによってだ。アリエン・ロッベンは、「俺たちはシュバイニー(シュバインシュタイガーの愛称)のために勝つ!」と、強い意気込みを見せる。

 そのためにバイエルンは何かを変える必要もない。普段どおりのプレーをすれば、それで十分だ。そうすれば準決勝に進める。そうすれば、チームのハートでありエンジンであるシュバインシュタイガーは、CLでふたたびプレーできる。

【記者】
Patrick STRASSER|Abendzeitung
パトリック・シュトラッサー/アーベントツァイトゥング
1975年ミュンヘン生まれ。10歳の時からバイエルンのホームゲームに通っていた筋金入りで、1998年にアーベントツァイトゥングの記者になり、2003年からバイエルンの番記者を務める。2010年に上梓した『ヘーネス、ここにあり!』、2012年の『まるで違う人間のように』(シャルケの元マネジャー、ルディ・アッサウアーの自伝)がともにベストセラーに。今年5月にはバイエルンのCBダンチの自伝を出版予定。

【翻訳】
円賀貴子
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