【SBS杯】U-18日本代表のモダンボランチが警鐘を鳴らす「このままだとアジアさえ突破できない」

2017年08月14日 安藤隆人

世代屈指の実力派も、自身の出来にダメ出し。

攻守両面で異彩を放つボランチ、伊藤洋輝。その日本人離れしたスケール感も魅力のひとつだ。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 伊藤洋輝にとって今回のSBSカップは、約1か月半ぶりの実戦だった。
 
 7月23日、U-23アジア選手権予選の中国戦。U-20日本代表として出場した伊藤は、51分に市丸瑞希に代わって投入され、約40分間プレー。帰国してからは、ジュビロ磐田U-18が日本クラブユース選手権に出場していなかったため、公式戦がなく、実戦から遠のいてしまったのだ。
 
 今回は本来の世代であるU-18日本代表での出場。チリ戦、チェコ戦に先発出場し、第2戦の静岡ユース戦でも後半から登場したが、とうてい納得のいくパフォーマンスではなかったという。
 
「1試合目(チリ戦)の前半がすごく悪くて、ゲーム勘が鈍っているなと実感しました。そこから徐々に戻ってきた感じなんですが、まだまだパスの精度が低いですし、ミドルシュートももっと枠に飛ばさないといけない。本来ならば、自分が一番走れる選手にならないといけないのに、それができなかった」
 
 彼の持ち味は、ボールを奪ってからの選択肢の多さにある。それが今大会では影を潜めてしまっていた。186センチの恵まれた体躯を持ちながら、足下の技術とパスセンスに秀で、積極的な前への仕掛け、そしてフィニッシュの局面でもきっちり仕事をする。
 
 本人が語ったように初戦のチリ戦では、ボールが思うように収まらず、ゲームの流れに入り切れなかった。それでも自慢の左足から繰り出される長短のパスでチャンスを演出するなど、存在感は示したが、彼の持っている能力からすれば、物足りない出来だった。
 
 最終戦のチェコ戦でも、27分にカウンター阻止からイエローカードをもらうと、寄せが甘くなり、簡単に入れ替わられてしまうシーンもあった。シュートはチーム最多タイの4本を放ったが、いずれも枠を捉えられなかった。
 
「相手のカウンターが速いのは分かってましたが、あのシーン(27分)でもっと上手く止めていればイエローをもらうことはなかったし、後半も積極的に行けたはず。攻撃面でもゴールに絡むプレーをもっともっと出していきたい。やっぱりラストパス、スルーパス、ロングボールの精度すべてが足りない。アシスト、ゴールという目に見える結果をもっと残していきたい」
 

次ページ飛び級では辿り着けなかったあの檜舞台へ──。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事