【SBS杯】U-18日本代表のフィジカルモンスターを進化させた「チョン・テセの教え」

2017年08月11日 松尾祐希

8か月に及んだ離脱期間を無駄にしなかった。

日本人離れした強靭な体躯を誇る加藤。本格派のターゲットマンとして、大きな期待がかかる注目株だ。写真:松尾祐希

 豪傑なプレーが真骨頂だ。空中戦は高校生年代であればほぼ負け知らずで、肉弾戦では相手を次々になぎ倒していく。登録上のサイズは178センチ・73キロながら、対峙する守備者からすれば、おののいてしまうほどの迫力がある。
 
 山梨学院大附の絶対的エース・、加藤拓己(3年)。8月10日から始まったSBSカップのオープニングゲーム、日本対チリ戦で、そのパワーを存分に見せ付けた。
 
 加藤に出番が巡ってきたのは、2点ビハインドの66分。「海外の選手を吹っ飛ばしたかった」と意気込んでピッチに立つと、跳躍力とフィジカルの強さを活かしてダイナミックなプレーを連続させた。76分には左サイドをこじ開け、杉田将宏(名古屋グランパスU18/3年)のゴールをお膳立て。南米の雄を相手に敗北を喫したが、「今日はアピールの場だった」という本人の言葉通り、わずかな出場時間ながらしっかりと存在を示した。
 
 昨年までは、世代別日本代表の常連だった。だが、2月に立ち上がったU-18日本代表に加藤の名はなかった。昨年の12月初旬、左足首の内側を剥離骨折してしまったのだ。

 医師からは全治3か月と診断されたが、約3週間後に控えた選手権本大会のピッチにはなんとかして立ちたい。その想いから、予定より早めにギプスを外した。しかし結果的にはこれが裏目に出てしまい、復帰時期が大幅に伸びてしまう。4月27日の手術を経て、最終的に戦列に戻ったのは6月のインターハイ予選から。コンディションは万全とは言い難く、チームを夏の檜舞台に導くことはできなかった。
 
 それでも加藤は、離脱していた期間を無駄にはしなかった。以前よりもパワーアップした印象で、深めた自信と新たに得た武器は、強豪チリを相手にも十分に通じた。
 

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