【総体】ボランチ起用で新境地開拓! 女王・順心が誇るスーパーMF、千葉玲海菜の風格

2017年08月03日 川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

鋭い突破から、最後は股抜きで。

昨年は切り込み隊長として、今年は攻守の軸として。スーパーマルチ・千葉が、藤色軍団をインターハイ連覇へと導く。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 思わぬ大差がついた。
 
 インターハイ女子準決勝、前回女王・藤枝順心は関東女王・星槎国際湘南の挑戦を受け、5-0と一蹴した。緻密なスカウティングが奏功し、徹底したフォアチェックで星槎自慢のパスワークを分断。奪っては手数を掛けない高質な速攻でみるみるリードを広げた。7回の得点機で5ゴールとは、驚異的な決定力だ。

【インターハイ女子準決勝PHOTO】藤枝順心5-0星槎国際|藤枝順心が決勝進出!
 

 攻守両面で抜群の連動性と機動性を誇る順心。その中軸を担うのが、昨年のU-17日本女子代表MF、千葉玲海菜(れみな)だ。本来はパワフルなドリブルを武器に敵陣を切り裂くアタッカーだが、今季はチーム事情でボランチを担当。これがものの見事にハマった。
 
 チームを率いる名将、多々良和之監督はこう評する。
 
「攻守に渡って効いてますね。1年の頃から試合に出てますし、代表にも行ってさらに自信が付いた。キャプテンに相応しい活躍を見せてくれています」
 
 ビルドアップはほぼすべて、中盤の底に陣取るこの「10番」を経由する。守→攻の切り替えでは的確な散らしのパスでリズムを作り、機を見たロングドリブルで相手陣内に踏み込む。一方で攻→守の切り替え時には、敵の攻撃を遅らせる動きやファウルも厭わない激しいチェックを披露。以前にはなかったレパートリーを加えている。

 言わば、スーパーマルチなMFに進化した。とはいえ、やはり千葉の真骨頂は攻撃性能だろう。前半24分、チームの3点目。敵のペナルティーアーク付近でボールを受けた千葉は、スラロームのようなドリブルを敢行する。マーカーふたりを手玉に取り、最後はGKの股を抜いてゴールを挙げた。スタンドがドッと沸いた瞬間だ。
 
 狙い通りのゴールだったのか?
 
「今年はあまりあそこまで行かないんですけど、ついつい行っちゃいました(笑)。深く持ち込んだけどパスコースが切られてて、パスをすると見せかけたら股が空いたんで、上手く狙えました。自分の特徴は攻撃。ああやって仕掛けていった時、周りがしっかり底のスペースを埋めてくれる。じゃないとあそこまで上がれません」

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