ノーゴールに苦しむ齋藤学に鄭大世が持論を展開。「取れる時は必ず来る」とエールも

2017年07月30日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「こういう時は、逆にPKを蹴らないほうがいい」

59分には巧みなステップで敵をかわした齋藤は、ゴール正面から強烈な一撃を放ったが、シュートはGKの真正面に飛び、ネットを揺らせなかった。(C)J.LEAGUE PHOTOS

[J1第19節]横浜 2-2 清水/7月29日/日産スタジアム/24,881人
 
 点を取るのが仕事であるストライカーだからこそ、今季いまだにノーゴールの齋藤学の苦しみが、手に取るように分かるのだろう。
 
 チームを敗戦から救う値千金の同点弾を決めた清水のエース鄭大世は、この日、PKというビッグチャンスさえもモノにできなかった横浜の10番の現状について、持論を展開してくれた。
 
「焦り? めちゃくちゃ分かりますね。だから、こういう時って、逆にPKを蹴らないほうがいいと思うんですよ。絶対決めるやつほど、決まらなかったりするし。後半にも、ドリブルから決定機を作ったけど、力んでシュートはGKの真ん中だった。
 
 あれなんて、サイドキックで蹴れば入るのに、力むからインステップになる。インステップで蹴ると、内転筋の力で真ん中に行っちゃうんですよ。普通にサイドキックでコースに流し込めば、絶対に入ると思う。
 
 ゴールを取れていないと、焦って、力んでしまうんですよね。つまり、シュートを打つ時に冷静じゃなくなる」
 
 自身もおそらくゴールから遠ざかる時期を経験しているはずで、それでも今もFWとして第一線で活躍する男の見立ては傾聴に値する。だが、鄭は「気にしなくていい」とも語る。
 
「遅かれ早かれ、ゴールが取れる時は必ず来る。取ったら取ったで、ああこんなもんか、なんで今までこんなに悩んでいたんだろうって思うはず」
 
 何よりも、鄭は齋藤というアタッカーの実力を認めている。
 
「別に点を取らなくても、プレーの影響力はハンパじゃないんで。彼ひとりいるだけで、DFはきりきり舞いにされるし、本当にシンドイ。何回もスプリントさせられますから。ゴールできなかったからといって、責任を感じる必要はまったくないですよ」
 
 試合後は、肩を落として落胆を隠せなかった齋藤だが、相手に与える脅威は依然として大きいようだ。そして、いずれ訪れるはずのゴールの瞬間まで、気持ちを切らさずに、前を向いて戦うしかない。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
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