【総体】Jスカウトが集結するなか、存在を誇示した安藤瑞季「インターハイは人生を変える」

2017年07月29日 川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

快勝スタートにあっても、垣間見せたストライカーの矜持。

優勝を狙う長崎総科大附を、最前線から力強く牽引する安藤。大雨のなかでも、格の違いを見せつけた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 7月29日、全国高校総体(インターハイ)の1回戦は、土砂降りの大雨のなかで行なわれた。日本三景のひとつ、松島のフットボールパークで徳島市立との初戦に臨んだのが、優勝候補の一角を担う長崎総科大附だ。
 
 名将・小嶺忠敏監督率いる九州の雄は、序盤から球際の強さと抜群の機動性能を前面に押し出し、ペースを掴む。すると開始8分、荒木駿太が早々に先制点を挙げる。その後は巧みに裏を突いてくる徳島市立のカウンターに苦しむ場面もあったが、守備陣が落ち着いた対応を見せて封殺。一進一退の攻防が続いていた前半28分、再び荒木が決めてリードを広げた。

【インターハイPHOTO】東福岡、星稜、長崎総科大附、日大藤沢らが1回戦突破!
 
 やはりひときわ目を引いたのが、U-20日本代表で、今大会ナンバーワンFWの呼び声が高い安藤瑞季だ。貪欲にゴールを目ざす一方で、マーカーを引きつけて裏のスペースに絶妙なスルーパスを繰り出すなど、随所で"違い"を披露。後半30分、絶好の得点機でシュートがミートせず、そのこぼれ球をDF岩本蓮太が決めた際は、「うおー、まじかー!」と絶叫。チームは3-0の快勝を収めたものの、生粋の点取り屋は納得できない様子で、苦虫を噛んでいた。
 
 気づいただけでも8人のJクラブスカウトが視察に訪れていた大注目株。そんな安藤に試合後、今大会への意気込みや自身の進路などについて、直撃した。
 
――まずは今日の試合の感想からお願いします。
 
安藤「自分自身は点が取れなかったんで悔しいですけど、アシスト(1点目)やチャンスメイクでいいところでいいプレーができたので、良かったとは思います」
 
――3点目が決まる前のシーズンでは吼えてましたが?
 
「雨の中のサッカーで、どれだけ落ち着いてシュートを撃てるか。そういったところがまだまだだと感じます。うまく活かして、明日の試合につなげたいです」
 
――やはりストライカーとしては、無得点で終わるのは不甲斐ないと?
 
「もちろんチームが勝つのが第一で、そのうえで点が取れるのが一番。でも正直、負けてしまったときと同じくらい、素直に喜べないというのはあります」
 
――なかなか相手のマークも厳しい。そのなかで巧みに周囲を活かしている印象を受けました。快勝劇の立役者だったと感じます。
 
「僕の仕事はやはり点を取ることなんで……。たしかにマークはどの試合も厳しいですし、それをうまく使いたいという思いはあります。ファウルされて倒されても、何度も立ち上がって僕はゴールを目ざす。絶対に気持ちでは負けません。うーん、今日は焦りすぎた部分があった。もっと気負わずに、ゴール前ではシュートのことだけを考えてプレーすべきだったかなと」
 
――得点王を狙っている安藤選手にしてみれば、早くも2得点の荒木選手が大きなライバルとなりそうです。
 
「まだ初戦ですし、最終的に駿太より多く取ればいいわけですから。あいつにはひとつアシストしたから、『後半は俺にもっとボールを出せよ』ってかなり強めに言いました(笑)。それでけっこういいボールをくれてたんですけど、僕が決め切れなかった。反省です」

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