浦和戦から見えてきた新生ドルトムント像とは? 香川真司の起用法は?

2017年07月16日 遠藤孝輔

攻撃時に多用していたショートパス

まだ始動したばかりのドルトムント。蒸し暑さにも苦しめられた浦和戦だったが、目指すサッカーの一端は見られた。 (C) SOCCER DIGEST

 ベルト・ファン・マルバイク以来となるクラブ史上2人目のオランダ人指揮官、ペテル・ボシュを新監督に招聘した新生ドルトムントが始動した。


 今夏、初のテストマッチとなったロート=ヴァイス・エッセン(4部)戦でよもやの敗北(2-3)を喫したものの、7月15日の浦和レッズ戦では先制を許しながら、エムレ・モル(2得点)、アンドレ・シュールレのゴールにより、意地の逆転勝利(3-2)を飾った。
 
 ボシュは監督試合後、「今回はフレンドリーマッチでしたが、勝てて非常に嬉しい」と、ドルトムントでの初勝利に喜びを隠さなかった。
 
 浦和戦のドルトムントは、4-3-3でスタートした。ボシュが前所属先のアヤックスで主に用いていたフォーメーションだ。
 
「どういう選手がいるか把握すること」(ボシュ)を図っている段階だからか、あっと言わせるようなコンバートや若手の抜擢はなく、スタメンの顔ぶれや配置に意外性はなかった。
 
 強いて挙げるなら、昨シーズンは第2GKだったロマン・ヴァイデンフェラーの先発出場と、ユベントス移籍の噂が浮上しているDFリーダー、ソクラティス・パパスタソプーロスのベンチスタートくらいだろう。
 
 新体制が始動したばかりで、劇的なまでの変化は見られなかったが、ボールを支配して攻撃的に振る舞おうとする意思ははっきりと窺えた。
 
 ビルドアップする際に多用していたのはショートパス。ロングフィードの優先順位は低く、まずはDFラインからアンカーのヌリ・シャヒン、あるいはインサイドハーフのゴンサロ・カストロやセバスティアン・ロデにボールを預けることを徹底していた。
 
 トーマス・トゥヘル前体制下とは異なり、ボールポゼッション時にSBが高い位置に張り出さないのも、新監督流と言えるかもしれない。
 
 ややワイドに開いた2CBのあいだにアンカーが降りてきて最終ラインを3枚にしてから、ビルドアップを始めるような試みは見られなかった。激しいポジションチェンジなどもなく、選手全員が忠実に自分の持ち場でプレーしていた印象だ。

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