【英国人記者コラム】若手台頭のイングランド代表だが、プレミアリーグの現状は…

2017年07月14日 スティーブ・マッケンジー

ユース年代には黄金期が到来か?

U-20ワールドカップを優勝したイングランド。その原動力となったソランキ(中央)などチームには逸材が揃っていた。 (C) Getty Images

 過去20年間、イングランド代表は国際舞台において平凡な成績に終始していた。最後に成功を掴むチャンスに恵まれたのは、自国開催であった1996年のEUROだ。
 
 イングランドには、その大会で得点王となったアラン・シアラーをはじめ、ポール・ガスコイン、デイビッド・プラットといった実力派が名を連ねていた。そして彼らが力を発揮して順調に勝ち進んでいったものの、準決勝でマティアス・ザマーやユルゲン・クリンスマンなどを擁するドイツにPK戦の末に涙を呑んだのだ……。
 
 以来、イングランドはワールドカップやEUROなどのメジャートーナメントにおいて、一度もベスト4に進んだことがない。これまでその主因として挙げられてきたのが、育成の拙さだった。
 
 しかし、近年は「イングランドの若手は伸びない」という風潮に変化が起き始めている。その象徴とも言うべき出来事が、5~6月に韓国で行なわれたU-20ワールドカップの優勝であることは、もはや言うまでもないだろう。
 
 また、同ワールドカップと同時期に行なわれたU-18トゥーロン国際大会でもイングランドは優勝を飾り、さらに5月のU-17欧州選手権でもスペインにPK戦で敗れはしたが決勝まで駒を進めた。
 
 また、現在開催中のU-19欧州選手権も、同じく決勝に進出している。もし7月15日のファイナルでポルトガルを打ち破れれば、イングランドは短期間で3つ目のタイトルを手にすることになる。これまで結果を重視していなかったユース年代の勝利は、FA(イングランド・サッカー協会)改善の大きな兆しだと言えるだろう。
 
 ちなみに、U-21代表は6月にポーランドで行なわれた欧州選手権で準決勝まで進出したものの、ドイツにPK戦で屈している。しかし、これは不名誉な出来事ではない。宿敵はそのまま優勝しており、イングランドとは明らかに力の差があった。
 
 とはいえ、今のイングランドの若手選手たちの基礎技術は完璧に近い。そのうえでダイレクトプレーからのヒールパスなど、多彩なテクニックもオンパレード。見ていて非常に愉快で、力任せの古典的なイングランド人選手たちとは一線を画している。

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