エムバペ獲得に「執念」のパリSG…マドリーは「マネーゲーム」に付き合わない?

2017年07月12日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

そもそもモナコに今夏売却の意思が…。

パリSGが同じリーグ・アンのモナコからその至宝であるエムバペ(写真)を引き抜くのは不可能に近いミッション。不可能を可能にするために、あらゆる手を尽くす構えだ。(C) Getty Images

 パリ・サンジェルマンのキリアン・エムバペ(モナコ)に対する執着は尋常ではない。この自国が生んだ18歳のビッグタレントをなりふり構わず獲りに行く構えで、ナセル・アル・ケライフィ会長も、6月にSD(スポーツディレクター)に就任した強化責任者のアンテロ・エンリケも、そしてウナイ・エメリ監督もその実現に執念を燃やしている。
 
 エムバペ獲得のハードルが相当に高いことは、彼らパリSG首脳部も重々承知しているはずだ。
 
 そもそも現所属先であるモナコには、この生え抜きの超逸材を売る気がない。もう1年はクラブに留め、来夏に改めて処遇を考えるというのがモナコの一貫した姿勢である。
 
 現地の新聞やウェブサイトには、「獲得には1億3500万ユーロ(約162億円)が必要」だの、「モナコは売値を1億5000万ユーロ(約180億円)に設定した」だのと常軌を逸した金額が躍っているが、これはつまりモナコには事実上売却の意思がないことを意味する。常識的に考えれば、プロデビューから1年あまりの18歳の若者に、これだけの金額を注ぎ込むクラブが現われるわけがないからだ。
 
 実際にモナコは、エムバペと結んでいる2020年までの現行契約を延長すべく動いている。新契約では、現在90万ユーロ(約1億1500万円)の年俸が850万ユーロ(約10億8800万円)まで跳ね上がるという。モナコがエムバペを残したがっているのは疑いようがなく、ましてや同じリーグ・アンで覇権を争うライバルチームに売り渡すなど、ありえない話だろう。
 
 しかもエムバペ自身、パリSG行きにはあまり惹かれていないようだ。この若きストライカーがレアル・マドリーでのプレーを夢見ているのは周知の事実。チームを率いるのが同胞のスーパーレジェンド、ジネディーヌ・ジダンという点もやはり見逃せない。モナコを離れるならマドリーへと考えており、もう1年モナコでプレーしてロシア・ワールドカップを戦った後、スペインに旅立つのが本人の理想のシナリオだと見られる。

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