【C大阪】12年ぶりの首位は「勢いだけじゃない」。柏戦の逆転劇はいかにして生まれたか

2017年07月10日 前田敏勝

リベンジマッチとなった柏戦。逆転に成功した後半の狙いとは?

18節の柏戦は、見事な逆転勝利を飾り、12年ぶりのJ1首位に立った。写真:川本 学

 後半戦スタートの18節はセレッソ大阪にとって、前半戦で2敗を喫したうちのひとつ、3位・柏レイソルとのリベンジマッチとなった。今回の柏戦は、対戦までに7試合負けなし(6勝1分け)と結果を残してきたなか、真っ向勝負に挑んだのだが、前半は「思っていたとおりには、うまくいかなかった」(ユン・ジョンファン監督)。
 
「上位にいるチームという感じのサッカーをしてくるし、良い選手もいっぱいいるので、そういう面では厳しい戦いだった」とDF山下達也も言うように、柏のハードプレスと正確なパスワークの前に、C大阪はペースを狂わされる。すると、41分には、クリスティアーノの右アーリークロスから武富孝介にダイビングヘッドでゴールを奪われ、またしても先手を奪われた。
 
 それでも、今のC大阪は、ひるまない。そして、「『後半は積極的に自分たちからどんどん、球際の部分だったり、ガツガツ負けないでいこう』と(ハーフタイムで)話した」という杉本健勇の言葉どおり、身体を張ってタフに対抗。その象徴となったのが、61分の選手交代だ。
 
「杉本と(山村)和也が、相手との球際のところで負けている印象があったので、(澤上)竜二を入れて、球際のところを優位にもっていきたかった」と言う指揮官は、あえて大黒柱の柿谷曜一朗をピッチから外して、強いフィジカルを活かして前線で起点となれる澤上を送り込んだ。
 
「身長の高い選手3人を前に置き、サイドからのクロスをもっと多くすることを狙いとした」
 結果的には、この決断が杉本健勇の同点弾、水沼宏太の右クロスから生まれたソウザの勝ち越し弾を誘発していくのだ。
 
 勝ち越したあとのC大阪は、柏のパワープレーに、耐える時間も少なくはなかったが、ゴール前の危ないシーンで山村、田中、キム・ジンヒョンをはじめ、全体が最後まで粘り強く身体を寄せ、柏にゴールを許さない。
 
「相手がロングボールを放り込んできた時も、しっかりと一人ひとりが責任をもって対応できている」と山村。約5分にもわたるアディショナルタイムでも、集中を切らさずに守り切り、逆転勝利を収めたC大阪だが、タイムアップの時に何人もの選手がピッチに倒れ込んだのは、持てるすべてを出し切った証だろう。

次ページ「1点取られても逆転できるという自信が、今はある」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事