【仙台】浸透するポゼッションスタイル、しかし勝点は「0」。指揮官が明かす、わずかに足りない“差”とは

2017年07月03日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

格上のG大阪をポゼッションスタイルで追い詰める。

仙台にポゼッションスタイルが浸透してきた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ17節]仙台2-3G大阪/7月1日/ユアテックスタジアム仙台
 
 今季、3-4-2-1という新布陣を採用し、ポゼッションスタイルへ本格的に舵を切った仙台にとって、敗れはしたがG大阪戦は大きな分岐点になるかもしれない。
 
 DAZN発表のスタッツで、仙台はG大阪を相手に55パーセントのポゼッション率を誇った。序盤に押し込まれたことが影響して前半の数字が45パーセントだったことを考えれば、とりわけ後半に仙台がボールを保持して相手を圧倒したことが分かる。
 
 シュート数でも9本(枠内シュート4本)の相手に対して、仙台は14本(枠内シュート9本)を記録し、強敵相手にボールを保持する攻撃的なサッカーで2ゴールをゲット。1点を奪うのが精一杯だったリーグ序盤戦を考えれば、攻撃面での成長が感じられた。
 
 試合後の記者会見、仙台の渡邉晋監督はポゼッションスタイルの成長について、こう語った。
 
「(ボールを)握るだけではないといことが、はっきり皆さんにも分かるぐらい、進歩の跡があると思う。どうしてもリーグが開幕した時は、(ボールを)握ることが精一杯で、ボールもなかなか前進できない。そもそも自分たちがどの立ち位置を取れば、効果的に出来るかということを理解できないまま、ゲームをこなしている時間があった。しかし、今は間違いなく、どのような形でボールを運べばよいか、どこに立ち位置を取ったら効果的に崩せるのかということが、みんな同じような絵を描けている。それはゴールに迫るための、ゴールを奪うためのポゼッションとして出来ている」
 
 指揮官がいう"同じ絵を描くこと"については主将の富田晋伍も「チーム全体としてやることや、イメージを共有させることは練習からやっている」とトレーニングの成果を口にする。
 
 中野嘉大は「前半は状況を見ていたが、後半は(サイドに)張ることで主導権を握れた。焦れずに攻撃することで押し込めてチャンスを作れていて、得点を取れる自信はチームとしてもあった。やっていることは間違ってない」とポジショニングの修正から、相手を上回った手ごたえを述べる。
 
 これらのことからも監督のポゼッション戦術が、選手たちに細かい要素まで刷り込まれていることが窺える。
 
 それは、上記の2選手だけではなく石原直樹も同様だ。試合後、「リードをされていても焦らずにボールを動かして、相手の嫌のところにボールを動かせたことは良かった。それで流れをこっちに引き寄せて、同点に追いついた」とボールの動かし方について話していた。
 
 確実にポゼッションスタイルの神髄がチームに浸透してきている。

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