欧州サッカー界でクラブ/代理人とメディアは「持ちつ持たれつ」。裏を取らずに情報を流す記者も…

2017年06月27日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

ヴェッラッティの移籍話がいつも出るのは…。

このヴェッラッティの代理人はメディアを積極的に活用するタイプ。バルサやユーベと接触したと頻繁に移籍を示唆。(C)Getty Images。

 クラブや代理人が、移籍/残留交渉を有利に運ぶため、選手への注目度や評価を高めるため、マスコミに意図的に情報をリークするという例は決して少なくない。
 
 例えば、マルコ・ヴェッラッティの代理人であるドナト・ディ・カンプリは、そうした大言壮語をよく口にするタイプだ。ヴェッラッティの移籍話が毎年のようによくマスコミに出るのも、彼があることないことをリークしてくるから。そうした情報を、裏を取り、内容を吟味したうえで流すかどうかを決める記者もいれば、裏を取らないでそのまま流す記者もいる。
 
 移籍報道全体の何割がそうなのかと聞かれても、その全体像を掴んでいるわけではない私には答えようがないが、半分は下らないだろうとは思う。
 
 マスコミを利用するという点で、もっとも巧妙なクラブのひとつが前体制下のミランだった。副会長だったアドリアーノ・ガッリアーニは、メディアを常に意識しながら、それを前提として移籍オペレーションを進めた。
 
 カカを獲得するためにブラジルに飛ぶ時も、ズラタン・イブラヒモビッチとチアゴ・シウバを売るためにパリSGのクラブオフィスに赴く時にも、カルロ・アンチェロッティ監督を復帰させるためにわざわざマドリードの自宅を訪ねる時も、必ずそれをマスコミに伝える。スポットライトを浴びながら移籍交渉を進めるのが好きだったのだ。
 
 というよりも、移籍マーケットとはそういう一種のエンターテインメントであり、クラブが人気と注目を集めるための話題作りに大きく役立つことを知っていた。レアル・マドリーのフロレンティーノ・ペレス会長もその点では共通するところがある。
 
 最近はユベントスも、マスコミの前に積極的に出てくる機会が多くなった。これはユベントスの名前がビッグネームと結びついて語られることが、ブランド価値の向上につながる。そう理解し、意識しているからだ。それに関してひとつ面白いエピソードがある。
 
 今年1月のマーケットで、ユーベはナポリで出番が少ないエマヌエレ・ジャッケリーニをレンタルで呼び戻そうとしていた。私がテレビでそれを話題にすると、ファビオ・パラティチSDが怒って電話をしてきた。「ユーベがそんな選手を取りに動くなどということは
ありえない」、「ブランドに傷がつく」と言うのだ。
 
 逆に、ハメス・ロドリゲスの獲得話がマスコミに出るのは、彼らにとっても大歓迎だ。実際には、年俸が高すぎて手が出せないのだが……。
 

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