ドンナルンマ問題で再焦点の「代理人」の実態…ライオラやメンデスはどう巨額を稼ぐのか?

2017年06月23日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

ライオラはポグバ移籍で巨額を稼ぎ出す。

メンデス(右)とライオラ(左)はサッカー代理人のいわば二大巨頭。多くのビッグディールを仕切っている。(C)Getty Images

 ジャンルイジ・ドンナルンマに対するミランからの契約延長オファーを突っぱねたミーノ・ライオラ、さらにレアル・マドリー退団が囁かれるクリスチアーノ・ロナウドとハメス・ロドリゲスを顧客に持つ業界屈指の大物ジュルジュ・メンデスなど、欧州の移籍マーケットでは今夏も「代理人」の存在が大きなトピックとなっている。
 
 彼らの実情をイタリアの移籍専門記者、ジャンルカ・ディ・マルツィオに解説してもらった。
(『ワールドサッカーダイジェスト2017年5月4日号』より加筆・転載)
 
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 代理人といえば、かつては選手と契約してその選手の利害を代弁し、クラブとの交渉に当たる存在だった。
 
 しかしこの10年ほどは、選手の移籍を通してクラブとの繋がりを深め、そのクラブの利害を代表して他のクラブとの関係を仲介したり、代理人とクラブの間に入って交渉を仲介したりという仕事が増えてきた。FIFAが公認エージェントの制度を廃止し、仲介人という形で選手とクラブ、そのどちらの利害も代表することができるよう自由化を図ったのも、制度が実態にそぐわなくなったからだ。
 
 自由化されたとはいえ建前上は、ひとつの交渉において仲介人はクラブか選手、どちらかの利益代表にしかなれないことになっている(クラブと選手は利害相反の関係にあるので)。ところが実際には、選手を顧客としている代理人が、その選手の移籍を実現するために売り手側(あるいは買い手側)のクラブの仲介人として振る舞うことが当たり前のようになっている。
 
 例えば、昨夏のポール・ポグバの移籍において、マンチェスター・Uとの移籍交渉を進めたのはユベントスではなく、ポグバの代理人のライオラだった。ユーベとマンチェスター・Uが直接会ったのは、すべての合意が成立して契約書にサインを交わすという段になってから。それまでの交渉はすべて、ライオラが両方のクラブの間を往き来しながら行なった。
 
 ライオラはその4年前、ポグバをマンチェスター・Uからユーベにフリートランスファーで移した。その代わり将来的に5000万ユーロ以上で売却した場合には、その移籍金の30%をコミッションとして受け取るという約束を交わしていた。
 
 結果、サッカー史上最高額の1億500万ユーロ(約126億円)というメガディールが成立したことで、その懐には巨額が転がり込んだのだ。しかも、マージンは30%のため本当なら3150万ユーロ(約38億円)だが、今年5月に発売された『フットボール・リークス』では4900万ユーロ(約59億円)だったと暴露されており、現在はFIFAが調査に動き出している。

次ページクラブの代理として移籍交渉に携わり、成立案件の手数料で…。

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