【浦和】全国優勝経験も挫折感にまみれた高校時代。来季加入の柴戸海が明大で培った強さとは

2017年06月20日 竹中玲央奈

「ああいう選手が行くなら、自分はダメだろうな、と」

今季はキャプテンとして明治大を牽引する柴戸。来季の浦和新加入が決定している。写真:猪野史夏

 浦和レッズは去る5月5日に、明治大のボランチ柴戸海を獲得することをすでに発表している。クラブにとっては専修大から新卒で加入したGKの福島春樹以来、2年ぶりとなる大卒選手の獲得である。
 
 もともと神奈川県出身である柴戸海は大前元紀(大宮)や小林悠(川崎)らを輩出した名門・町田JFCの出身であり、中学卒業後には千葉へ渡り、高校サッカーの名門である市立船橋高へ進学。そして、高校3年時にはインターハイで優勝に大きく貢献する。
 
 選手権ではベスト8で小屋松知哉(京都)擁する京都橘に0-2で敗れて大会を後にしたのだが、最初の失点の直前、小屋松に抜き去られたのが柴戸だった。
 
 このシーンだけが理由のすべてではないのだが、同世代でプロ入りが決まっていた選手と対峙し、そこで実際に感じた差が、彼を大学進学へと強く後押しする動機になったという。
 
「高2、高3の時にインターハイ、選手権と出て経験を積んでプロに行く選手と試合をしたり、マッチアップしたりするなかで、"こういう選手がプロになっていくんだな"と肌で感じて"自分はまだまだこのレベルではない"と思ったんです」
 
 特に印象に残っているのは先に述べたように「目の前でやられた」小屋松だと言うが、同じ千葉県でしのぎを削りあった流経大柏高の小泉慶(新潟)や青木亮太(名古屋)も、彼に大きな衝撃を与えた選手たちだ。
「ああいう選手が行くなら、自分はダメだろうな、と」
 
 ある種の挫折を経験したものの、続く大学4年間でプロに近づくため、進学先に選んだのは和泉竜司(名古屋)や小出悠太(甲府)ら高校の先輩たちがいる明治大だった。
 
 柴戸はもともと1対1の守備で勝ち切る力や球際の強さ、相手の攻撃の芽を摘む守備に長けていたが、日々の練習からプレー強度を求める大学サッカー屈指の名門チームで、その武器はさらに高まり、2年時には定位置を掴む。全日本大学選抜にも定期的に招集され、京都サンガF.C.への入団が発表された重廣卓也(阪南大)とともに大学サッカー界を象徴するボランチとなった。
 
 そして、何度も明治大や大学選抜の試合に足を運んでいた浦和が早々にオファーを出し、彼は入団を決意する。
「浦和という、J1でも順位が上のビッグクラブで、何度も優勝をしているクラブの中で自分の力がどれだけあるのかというチャレンジと素晴らしい選手がいるなかで、いろいろなこと、たくさんのことを学んでレベルアップをしていきたいなと思った」
 
 Jリーグ屈指の強豪クラブへの加入を決断した理由を、柴戸はそう語った。

次ページ今持っているのは、その中に割って入ってどれだけ自分が成長できるか、という自身への期待感。

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