久保建英がU-20W杯での3週間に手応え「間違いなくレベルアップにつながる」

2017年06月01日 安藤隆人

「最初は『なんで俺なんだろう?』とびっくりした」

今大会で久保は1アシストに終わったものの、決して小さくないインパクトを与えた。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 久保建英にとってのU-20ワールドカップは、ほろ苦くも貴重な経験を積めた場になった。
 
 5月30日、チームメイトとともに羽田空港に到着すると、多くの報道陣の前にもかかわらず、相変わらずの落ち着いた口調で一つひとつの質問に丁寧に答えた。
 
「最初は『なんで俺なんだろう?』とびっくりした」と語ったように、U-17日本代表の中心選手であった久保が、昨年末のアルゼンチン遠征でU-19日本代表に抜擢されたことに、当初は本人も驚きを隠せなかった。
 
 しかし、そのアルゼンチン遠征で「十分に戦えるレベルにある」と内山篤監督の信頼を掴むと、以降はチームに定着し、今大会では1アシストをマーク。「このチームで1試合でも多くやりたかった。でも、自分が想像していた以上に、経験値をもらえたかなと思います」と、最後はすっかりチームの一員として馴染んでいたことを窺わせた。
 
 だが、今大会最年少で臨んだとはいえ、久保にとって圧倒的に悔しさが勝る経験となった。南アフリカ戦では貴重な決勝弾をアシストし、日本でも大きなニュースとなった。しかし、ウルグアイ戦でFW小川航基の大怪我のアクシデントを受け、20分に緊急出場をすると、「ファーストタッチがうまくいかなかった」と、上手く試合に入り込めず、久保自身まったく納得のいかない出来に終わった。続く第3戦のイタリア戦では出場なし。
 
「フレッシュな状態で臨めると思います」と挑んだベネズエラ戦では、62分に投入され、ワンタッチで前を向いたり、抜群のポジショニングでボールを受けたりと、才能の片鱗を見せたが、結果を残せぬまま敗戦の時を迎えた。
 
 試合後のミックスゾーンでは終始うつむき、最初の質問から答えに至るまでしばらくの沈黙があった。それは15歳の彼にとって、酷な時間のように映った。それでも彼は、「正直今はあまり、いろいろ考えられないです…。チームとして出てるんで、自分の経験になろうがなるまいが、しっかり1試合1試合を大切にしていきたいと思ってました。今日はあまり収穫もなく、もう(日本に)帰るしかないですけど、本当に残念です」と、しっかりと言葉を発した。

次ページ10月のU-17W杯については「もし招集されたら出たい」。

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