【U-20】「やっぱりA代表につなげてほしい」内山監督が"教え子"たちに送った最後のメッセージ

2017年06月01日 安藤隆人

「アジアの予選での中2日とは全然違って、思った以上に心身ともに凄くハードでした」

内山監督は「A代表につなげないといけない」と選手たちにエールを送った。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 10年ぶりのU-20ワールドカップを戦い終えたU-20日本代表が、5月31日夜に羽田空港に帰国した。

 前日30日に決勝ラウンド16のベネズエラ戦で、延長戦の末に敗れた。1本のセットプレーを沈められ、0-1で大会を後にした。
 
「1日経つと悔しさとか、もっとやれたかなという想いがある。ただ、彼らの頑張りで10年ぶりの世界大会に出られた。選手個々はもちろん、スタッフも含めて、この経験を日本サッカーに生かして行かないといけない」
 
 羽田空港内の一室に設けられたミックスゾーンに、スーツ姿で現れた内山篤監督は、報道陣の前で開口一番、ラウンド16で敗れた無念さを口にした。
 
 今大会は日本にとって逆境の連続だった。

 初戦の南アフリカ戦こそ、0−1からの逆転勝利で幸先の良いスタートを切ったが、ウルグアイ戦ではエース小川航基の負傷離脱、その後にゲームを立て直せずに0−2の敗戦を喫した。続くイタリア戦は0−2から堂安律のふたつのスーパーゴールで追いついて、勝点1を獲得し、グループリーグ3位ながら決勝ラウンドに進出できた。

 だが、中2日で迎えたベネズエラ戦では、「前日練習の時に重いなと感じながらも、落とし込むところはきちんと頭を集中させて落とし込んだ。練習量を減らしたのですが、少しその影響が出たかもしれません」と、グループリーグでの疲労を回復できぬまま、120分間の戦いを強いられた。
 
「もし1位通過していれば、もっと日程的な余裕はあった訳ですから。グループリーグで常に勝点を計算できるようなチームにならないといけない。アジアの予選での中2日とは全然違って、(U-20ワールドカップの中2日は)思った以上に心身ともに凄くハードでした」
 
 もちろんウルグアイ戦やイタリア戦で勝利していれば、ここまで消耗して戦わずに済んだかもしれない。しかし、このハードな戦いを連続して経験できたことは大きな価値がある。

「4試合すべてに予測ができないものがあった。立ち上がりの失点などもあるなかで、慌てずに逆転したり、追いついたことは良かったし、ベネズエラ戦では守備が良くなった。その修正能力は非常に高まり、修正する時の共有は、短い時間でもできていた。それは意識の高さの賜物だと思います」
 
 日本のU-20ワールドカップは幕を閉じた。内山監督は最後に苦楽をともにした選手たちに「基本的にはありがとうと伝えました。よくやってくれたし、アジアを突破して、世界に挑もうというなかで立ち上がったチームなのですが、そこを突破して世界で戦えた」と、労いの言葉を掛けた。
 
「今後、彼らはもちろんオリンピックもあるけど、やっぱりA代表につなげないといけない。ぜひそういう選手が出て来て欲しい」
 
 貴重な世界での経験を糧に、さらなる成長を果たし、A代表として今度は年齢制限の無いワールドカップのピッチに立つために。内山監督は『教え子』たちにエールを送って、ミックスゾーンを後にした。
 
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)
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