R・マドリーが「ベイル売却」を検討。しかし1億ユーロでは…

2017年05月25日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

フィジカルにこれだけ明確な問題を抱えた27歳に…。

あまりに怪我が多いベイル。マドリー首脳部の中には売却を後押しする声も。(C)Getty Images

 レアル・マドリーはガレス・ベイルを売りに出すことを本気で考え始めている。
 
 その理由が、技術・戦術的な部分にあるわけではない。彼ほどのクオリティーを備えたサイドアタッカーは、世界を見回しても簡単には見つからないからだ。問題は純粋にフィジカル的なところにある。
 
 数字は正直だ。2013年の入団以来、故障離脱は実に17回。とりわけ今シーズンは臀部、足首、ふくらはぎなどを立て続けに痛め、30試合近くを欠場している。
 
 サンチャゴ・ベルナベウのファンはそんなベイルにウンザリしはじめ、イスコやマルコ・アセンシオ、ルーカス・バスケスといった若手のほうが、チームに安定と継続をもたらしてくれると考えるようになってきた。
 
 それでもジネディーヌ・ジダン監督はベイルを見放すどころか、まだ本調子でないときにすらピッチに送り出してきた。また、フロレンティーノ・ペレス会長もまだ決断を躊躇っている。いま売りに出せば、間違いなく移籍収支が赤字になるからだ。
 
 フィジカルにこれだけ明白な問題を抱えている27歳に、誰が1億ユーロ(約120億円)もの大金を払おうとするだろうか。ベイルのようにフィジカル能力にすべてを依存するタイプならなおさらだ。
 
 そんなペレスの意思とは裏腹に、クラブの役員の中には「もうベイルの顔も見たくない!」と公言する者も少なくない。移籍金の大幅減額となれば、マンチェスター・Uやチェルシーが手を出すかもしれない。ウェールズ代表のレフティーを巡る綱引きは始まったばかりだ。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
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