【浦和】済州に苦杯。名手・阿部勇樹のまさかのミスパスから失点した背景とは?

2017年05月25日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

「済州対策」を講じて、普段とは異なる3-5-2を採用。

阿部のミスパスから、済州に痛恨の先制点を与えてしまった。写真:徳原隆元

[ACL決勝トーナメント1回戦1stレグ]
済州ユナイテッド 2-0 浦和レッズ
5月24日/韓国・済州
 
 済州戦の浦和は阿部をアンカーに置く3-5-2の布陣で臨んだ。ペトロヴィッチ監督が「最も攻撃で魅力的。そのバランスを保つことが難しい」というシステムだ。相手のシステムに対抗し、局面で数的優位を作れることもあり、指揮官は普段の3-4-2-1をあえて変えてきた。
 
 そこに、勝負の綾があったと言えた。いつもは普段通りに戦うべきだと強調する指揮官が、この日は"理想の一着"を選んだ。しかし、最も警戒すべき相手の武器であるカウンターをことごとく食らってしまった。
 
 しかも開始7分、阿部の縦パスが相手に奪われ、そこから先制点を決められた。相手が掴んだ最初の決定機だった。
 
 浦和は済州のカウンターを警戒し、できるだけサイドから攻める戦いを模索していた。サイドで数的優位を作りながら、主導権を握る。また、ピッチ中央よりもサイドであれば、ボールを奪われてもカウンターのリスクを軽減し、威力を半減できる。そういったメリットを考えての3-5-2の採用だった。
 
 しかし——先制点は、アンカーの阿部の縦パスをインターセプトされ、カウンターに持ち込まれたものだった。完全に済州の数的優位。前に人数をかけていた浦和は戻り切れない。
 
 浦和の左サイドに展開され、韓国代表に初めて選出されたファン・イルスのクロスからマルセロのヘディングシュートを決められてしまう。済州のカウンターの餌食になってしまったのだ。
 
 阿部はその失点シーンについて、次のように振り返っていた。
 

次ページ「右サイドのモリが(パスを出すように)呼んでいたなか、ちょうど真ん中が空き――」。

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