【U-20W杯で考える】素直な日本に対し老獪な元世界王者たち。この2か国に勝つのは大変だ!

2017年05月22日 熊崎敬

南ア戦は「良くも悪くも、いつもの日本」だった。

南アフリカ戦のU-20日本代表のスターティングメンバー。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 韓国の勝利を見届けた昨夜、私はちょっと格好をつけて、こんなふうに書いた。
「明日は日本の未来を見届けに行くぞ」
 
 日本の未来といっても過言ではないU-20代表、その初戦の印象は「良くも悪くも、いつもの日本」だった。
 
 南アフリカに逆転して、価値ある勝利を飾ったチームに「いつもの日本」。ちょっと厳しい論評だが、偽らざる気持ちである。
 
「悪くも」というのは、個人の力量が見劣りすること。目の前の敵をかわすことができる南アフリカの選手に比べて、日本は1対1で勝負できない。そのため横へのパスが多くなる。意外性がなく、プレーが淡泊なのだ。ボールを触ることを怖がっているようにすら見える。
 
 前夜に見たアルゼンチンやギニア、韓国と比べると、癖がない。素直。勝ったのは日本だが、個人で秀でていたのは南アフリカだった。中盤を仕切った21番セレなどは、惚れ惚れするようなさばき、仕掛けを見せてくれた。
 
 ではなぜ、個人の力量で劣る日本が勝てたのか。それは「良くも」に当てはまることだが、チームとしてのまとまりや継続性で南アフリカを上回ったからだ。
 後半に足が止まった南アフリカに対して、日本は最後まで勤勉に走り続けた。前半振り回された守りも、最後まで持ち堪えた。
 
 1日で4か国が見られるU-20ワールドカップは、各国のプレースタイルが比較できるという意味で、とても興味深い。プレースタイルは、そのまま国民性といってもいい。
 そして案の定、日本は日本人らしいゲームをした。私たちはやっぱり、まじめながんばりやさんなのだ。ちょっとつまらないかもしれないけれど。
 
 才能は小さくても、団結してまじめに取り組む日本に対して、南米やヨーロッパ、アフリカの国々は才能に恵まれた奔放な連中が、自由に自分を表現する。
 果たして、どちらがいいのだろう。
 
 私は、この年代では個人が際立つべきだと考えている。というのも、目の前の敵を外すようなプレーは、20歳前後から習得するようなものではないからだ。その一方で、チーム戦術というのは後からでも間に合う。まずはひとりで戦えることが重要だ。

次ページウルグアイ、イタリアに勝つには「いい意味での日本らしさ」がもっともっと必要だ。

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