【C大阪】“3度目の正直”で掴んだ勝利。殊勲の杉本に火をつけた柿谷のひと言とは?

2017年05月14日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「『お前が(ゴールを)決めたら勝たれへんから』と曜一朗くんにイジられていた」

ひとりで持ち上がり、フィニッシュまで持ち込んだ2点目は、改めてポテンシャルの高さを感じさせた。 写真:川本 学

[J1第11節]C大阪5-2広島/5月14日/金鳥スタ
 
 杉本健勇にとって"3度目の正直"で掴んだ勝利だった。
 
 今季ゴールを挙げた試合は、いずれも引き分け(7節・G大阪戦/△2-2、8節・甲府戦/△1-1)。キャプテンの柿谷曜一朗から「お前が(ゴールを)決めたら勝たれへんから」とイジられていたというが、杉本自身も前線を任される立場として責任を感じていた。
 
 広島に先制され、11分、24分と決定機を外して迎えた29分、杉本が一気にギアを上げる。右サイドを突破した山村和也のクロスに右足を振り抜き同点とすると、4分後には清武弘嗣のゴールにつながるスルーパスを出し、さらに58分には自陣から独力でカウンターに持ち込み、鮮やかにこの日2点目をゲット。最後はチーム5点目もバックヘッドでそらしてアシストし、計4ゴールに絡む活躍を見せた。
 
 試合後、ミックスゾーンに姿を現わした杉本は「やっとですね」とはにかんだ。先制されても、柿谷らとコミュニケーションを取り、冷静さを保てたことが勝因だったと明かす。
 
「広島は"嫌な相手"というか、先制されて、ボールに1人、2人と行ってしまうと交わされてしまう。曜一朗くんたちと『絶対に点が取れるから落ち着いていこう』と話してその通りにゲームを進めることができた。そこが勝利につながるひとつの鍵だったと思います」
 
 約60メートルをドリブルで駆け上がってからの自身2点目は、当初は「あんなにドリブルするつもりはなかった」という。実際、局面は1対5(ディフェンス4人+GK)の状況で見方によってはやや無謀な仕掛けにも見える。しかし、「自分が決めて絶対に勝つ」という想いが杉本のスピードを加速させ、本能的にゴールに向かわせたのだろう。
 
「1人交わした時に前のコースが空いていたので行けるなと。水本(裕貴)さんがついてきていましたけど、外に運んで1回キックフェイントを入れれば足を出してくるから、股を抜いて良いコースに(シュートを)打てればGKは取れない。瞬時の判断はイメージ通りでしたね。先制されてからの逆転は気持ちが良いし、チームが勝てたことが嬉しい」

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