ボカの勝利への熱量に驚愕! 東京国際ユース(U-14)を取材して感じた彼我の差

2017年05月13日 佐々木裕介

決勝戦のハーフタイム。ボカの控室から聞こえてきたのは……。

大会を制したボカ・ジュニオルスが表彰式で喜びを爆発させる。写真:佐々木裕介

 蒸さず晴れ渡ったゴールデンウィーク。東京・駒沢オリンピック公園では今年もアンダー世代の国際大会「2017東京国際ユース(U-14)サッカー大会」が開催された。
 
 9回目を迎えた大会には、主催者である東京都と姉妹友好都市関係にある街からの海外招待が11チーム、国内から9チームが参加し、4日間に渡り熱戦を繰り広げた。
 
 優勝トロフィーは、今年も名門、ボカ・ジュニオルスの手中に収まった。今大会を含む過去9度の開催で実に4度目の優勝。2010年大会(東京ヴェルディが優勝)以外は全て海外招待チームが栄冠に輝いている。世界との距離は、14歳のカテゴリーにして、すでにそこまで"差"があるのだろうか。
 
 ボカとFC東京が激突した決勝戦は、1-1の末のPK戦でボカに軍配が上がったのだが、局面での戦いにはスコア以上の差を感じることとなった。筆者の感じた"差"とはプレースキルではなく、マインドのそれだった。
 
 決勝戦のハーフタイムにたまたま通り掛かったボカの控室前。リードしているとは言え、思い通りにいかない試合展開に監督の怒号が聞こえてくるのかと思いきや、大合唱する選手の声が響き漏れてきた。スペイン語が理解できない筆者なので、内容や理由は定かではないのだが、不甲斐ない自らの戦いに、皆で声高らかにアルゼンチン流の喝を!ということなのだろうか。いずれにしても、そのセルフマインドコントロール力には、驚嘆せざるを得なかった。
 
 他にもある。試合後には必ずファンのもとへ挨拶に行き、求められる写真撮影に嫌な顔ひとつせずに対応し、大人と対等に対話を楽しむコリンチャンスの面々の姿にも感銘を受けたし、スタジアム内のトイレや通路ですれ違う海外選手に「こんにちは」と日本語で挨拶されることもしばしば。
 
 決勝トーナメントでは幾つかのPK戦の場面にも立ち会えたのだが、ゴール後の喜びの表現力にしても、GKとキッカーの駆け引きにしても、海外チームの勝利への執着心から溢れる行動には、14歳の子どもではない、ひとりの漢としてのプライドを感じた。またそのどれもが、本能故の行動だと。日本チームがこの大会でなかなか勝てない理由が何となく分かってしまった気がしたのだ。

次ページ表彰式では狂ったように喜びを爆発させたボカの選手たち。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事