“天才”が“天才”を語る。久保建英と小野伸二は互いのプレーをどう評価したのか

2017年05月04日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

「オーラがある」(久保)(小野)

久保と小野は互いに「オーラがある」と言っていた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[ルヴァンカップ4節]FC東京 1-0 札幌/5月3日/味スタ
 
 この一戦はふたりの天才が同時にピッチに立った試合でもある。ふたりの天才とは言うまでもなく、この日FC東京のトップチームでデビューを果たした久保建英(15歳)と、札幌でスタメン出場した小野伸二(37歳)である。
 
 久保より22歳年上の小野は、試合前から貫禄を見せつけていた。チームメイトとのロングパスの練習で、パートナーが蹴ったボールを足もとでピタリと止めたり、お尻でタイミングよく受けたり、技術の高さを披露していたのだ。

 小野は試合中も的確なボールコントロールとパスでFC東京の守備陣をかく乱。手数をかけないプレーで札幌の攻撃にリズムを生み出そうとしていた。
 
 そんな大先輩の美技、とりわけ吸い付くようなトラップに、もうひとりの天才・久保は魅了されていた。

「小野選手のプレーはYOU TUBEとかで見ていますけど、この前のルヴァンカップのボレーシュートもそうですが、一つひとつの質が高い。今日もトラップは足に何かついてるんじゃないかってくらい凄かった。吸い付くようなトラップばかりで、これが一流選手なのかなと」
 
 その久保は66分から途中出場。前線からのチェイシングで守備を引き締め、終盤の84分には自ら得たFKからゴールを狙うなどアグレッシブさをアピールしていた。目に見える結果こそ残せなかったが、それなりに存在感を示したことは同じピッチでプレーしていた小野のコメントからも窺える。
 
「あそこでFKを蹴らしてもらえるぐらい信頼されている。FC東京の選手たちも彼のことをリスペクトしているのかなと。堂々としていましたよね。ゴールを決めちゃうかもしれないというオーラも出ていました。遠慮もあっただろうし、すべてを出し切ったわけではないだろうけど、本当に堂々としていた」
 
 小野はさらに「自分が15歳の頃と比べると?」という質問に対して次のように答えていた。
 
「全然、比べ物にならないです。彼自身はバルセロナとかでやってきているから、怪我なくプレーしてほしい」
 
 そんなエールをもらった久保は「光栄です」と少し照れくさそうな表情をしていた。なぜそんなにかしこまったかと言えば、小野が久保を「オーラがある」と言ったように、久保も小野に「オーラ」を感じていたからだ。
 
「小野選手はワールドカップとかを経験していてオーラもあった。プレーの質もあって、良い経験をさせてもらいました」
 
 天才・小野との邂逅は、久保にとって何物にも代えがたい財産になるかもしれない。

取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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