【CL分析】アトレティコの堅守が崩壊した「3つの理由」

2017年05月04日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

内容でもポジティブな要素は見出せず。

C・ロナウドにハットトリックを許したアトレティコ守備陣。球際では激しさを欠き、相手に自由を与えた。(C)Getty Images

[CL準決勝・第1レグ]R・マドリー 3-0 アトレティコ・マドリー/5月2日/サンチャゴ・ベルナベウ
 
 手も足も出なかった――。準決勝で宿敵マドリーと対戦したアトレティコは、敵地に乗り込んだ第1レグで0-3の完敗。クリスチアーノ・ロナウドにハットトリックを許したうえ、ポゼッション率(61%対39%)やシュート本数(16本対4本)でも相手を大きく下回るなど、内容でもポジティブな要素は見出せなかった。
 
 とりわけ意外だったのが、今大会ここまで10試合でわずか5失点と堅牢を誇るDFラインがたやすく失点を重ねたこと。3ゴール以上を奪われたのは、2-3で敗れたコパ・デル・レイ5回戦のラス・パルマス戦(1月10日)以来じつに4か月ぶりだ。
 
 自慢の堅守はなぜ崩壊したのか。その理由として考えられるのは以下の3つだ。
 
理由その1「サイドの攻防戦で完敗」
 
 結果的に大きく響いたのが、右SBのレギュラーであるファンフランの負傷欠場。控えのシメ・ヴルサリコ、ホセ・ヒメネスもそれぞれ膝と内転筋を痛めて出場を見送ったため、代役はリュカ・エルナンデズが務めた。
 
 このリュカの右SB起用が裏目に出た。本来CBで左利きのフランスU-21代表DFは、左SBには対応可能とはいえ、「右」でプレーするのは今シーズン初めて。浮足立っていたのは明らかで、縦に仕掛けるC・ロナウドやマルセロに決定的なチャンスを作られた。
 
 左SBのフィリペ・ルイスも前半はダニエル・カルバハルへの対応で後手に回りがちで、特に決定機を作られた序盤は緩慢な守備が散見。この両サイドの攻防で劣勢を強いられたことが、相手を勢い付ける要因となった。
 
理由その2「CBの不出来」
 
 CBを組んだのは、ディエゴ・ゴディンとステファン・サビッチ。ともに対人戦の強さが売りのストッパーながら、この試合では大きな"アキレス腱"となった。中途半端なクリアで1失点目のきっかけを作ったサビッチ以上に酷かったのがゴディンで、軽率な対応で相手のアタッカーに振り切られたのは一度や二度ではなかった。
 
 サイドを崩されても、屈強なCBが相手の攻撃をはね返してきたのがこれまでのアトレティコだった。その拠り所であるはずのCBが踏ん張り切れず、3つのゴールを許す結果となった。
 
理由その3「インテンシティーの不足」
 
「最初の30分間は特に素晴らしかった。相手を押し込み、技術的にも戦術的にも機能していたなかで、チャンスをいくつも作り出した」
 
 試合後にそう振り返ったマドリーのジネディーヌ・ジダン監督は、拍子抜けしていたのかもしれない。球際の強さが売りのアトレティコ守備陣が、いつになく大人しかったからだ。
 
 セットプレーを警戒していたとはいえ、相手への寄せが甘く、ファウル覚悟の激しいタックルも控え目。こうしたインテンシティーの不足がマドリーの攻撃陣に自由を与え、守備の崩壊を招いたと言えるだろう。
 
文:ワールドサッカーダイジェスト編集部
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