【コラム】もはや「CLの器」、ルカクはチェルシーに帰還すべきだ!

2017年04月17日 山中忍

エバートン・ファンも「CL級」のルカクの放出に文句は言わず。

今シーズンはプレミアリーグで24ゴールを記録したルカクは、30ゴールの大台も達成目前だ。そんな大砲の動向を熱心に追っているのが古巣チェルシーだ。 (C) Getty Images

「いつかはエバートンでは物足りなくなる時が来る」

 監督のロナルド・クーマンが、主砲のロメル・ルカクについてそう語ったのは昨年11月のこと。そして「その時」は、指揮官の想像よりも遥かに早いタイミングで訪れている。

 ここまで24ゴールを挙げてプレミアリーグ得点王争いをリードする23歳は、エバートンでのリーグ戦通算61点目を決めた3月4日のトッテナム戦(27節)で、ダンカン・ファーガソン(現エバートン・コーチ)を抜いて、プレミアリーグでクラブ歴代トップスコアラーとなった。

 さらにハル戦(29節)では、エバートンにとって1985-86シーズンのガリー・リネカー以来となるリーグ20得点に達し、4月15日のバーンリー戦(33節)では今シーズン24点目をマーク。5試合を残して、やはりリネカーと並ぶシーズン30得点も射程圏内に据えている。

 一方、チームはトップ4と勝点7差の6位。2004-05シーズンに一度だけ手にしたチャンピオンズ・リーグ(CL)出場権は今シーズンも望み薄だ。「エバートンにはもったいない」というメディアのルカク評をサポーターも認めざるを得ないだろう。

 事実、2019年6月までとなっている契約の更新を本人が断った3月以降も、スタンドからは、「恩知らず」や「裏切り者」といった罵声は聞こえてこない。ルカクを「CL級」と認めるファン・サイトでの論調からしても、7000万ポンド(約98億円)と言われる移籍金を置き土産として受け取り、今夏にも送り出す覚悟ができているようだ。

 有力視される移籍先は、2位との勝点差が4ポイントに縮まったものの、プレミア王者としてのCL復帰を目指すチェルシーだ。現在1トップを務めるジエゴ・コスタが、昨冬に中国からの巨額オファーに心が揺れて以来、今夏の「換金」対象と見られているため、その後釜に据えようという算段である。

 元々チェルシーに在籍していたルカクの獲得には、3年前に売却した際の2.5倍もの出費を要することになるが、アントニオ・コンテ新監督とフロントは、「若くて高いのは当然」とばかりに、一線級CFを"新たに"獲得するという意識かもしれない。

次ページルカクは6年前とは段違いのストライカーに成長。

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