【指揮官コラム】鹿児島ユナイテッドFC監督 三浦泰年の『情熱地泰』|お疲れさま、そしてありがとう!

2017年04月11日 サッカーダイジェストWeb編集部

好きで始めたものを辞める日が来る――。少し寂しいことだ。

4月10日の夜に自身のブログで引退を表明した浅田真央。各界の著名人から労いの言葉が相次いでいる。(C) Getty Images

 4月10日の夜、スケート界に激震が走った。
 
 朝起きてテレビをつければ、どのチャンネルも「真央ちゃん引退」のニュースばかり。フィギュアスケートの魅力が浅田真央ちゃんの演技から、真央ちゃんが歩んできた歴史から感じられ、そして引退を発表したブログでの一言一言が僕の胸に強く響いた。
 
 今回のコラムは、「サッカー文化」というテーマで用意していたのだが、それは次回以降にして、ホットな話題である「浅田真央ちゃん」に何を感じたかについて書いてみようと思う。
 
「真央ちゃん、真央ちゃん」と連呼しているが、残念ながら僕は面識がない。同じスポーツ界にいるのだから、少しは接点がありそうだが全くない。
 
 それでも彼女を応援するサポーターのひとりであり、サッカーでたとえれば日本代表を応援する現地にいったことのないサポーター、といったところだ。
 
 いろんなことを言うファンのひとりなのである。そして彼女には必ず「ちゃん」をつけてしまう。弟のカズを知らなくても「カズ」と呼び、僕のことは「ヤス」と呼ぶように……。
 
 テレビでは、真央ちゃんがスケートを始めた5歳当時の映像が流れていたが、僕たち兄弟も5歳からサッカーボールを蹴っていた。
 
 好きで始めたものを辞める日が来る――。少し寂しいことだ。
 
 浅田真央が「浅田真央ちゃん」ではなく、浅田真央のままであれば、フィギュアスケートをやめる必要はない。たとえ一線を退いたとしても、好きな日に誰にも言わず、浅田真央としてまたやりたくなったらやれば良い。
 
 しかし、今の日本を背負う、日本を代表するフィギュアスケーターという意味では、話はまた変わってくる。彼女だけではないが、どんなスポーツでも引退を世間に知らせなければいけない選手がいる。
 
 これはすごく幸せなことなのである。
 
 好きなサッカーで、好きなスケートで、生活をし、仲間を増やし、愛され、期待され、知ってもらえる。
 
「スケート人生に悔いはない」と言える日が来た真央ちゃんは、やはり日本を代表する愛されるべきフィギュアスケーターなのだ。
 
 この世界の26歳での引退は早いのか遅いのか分からないが「スケート人生に悔いなし」と綴った文章を考えると、これからの彼女の人生も本当に楽しみである。
 
 フィギュアスケートで活躍した元選手がテレビでキャスターなどとして出演しているが、魅力を感じる人が多い印象を僕は持っている。
 
 アイスリンクの上で美しさを表現するフィギュアスケート。演技が終わった瞬間に感情が解き放たれ、時には滑っているまさにその時に表情やしぐさに感情が現われることもある。
 
 そんな世界から、若くして数多くの経験をしてきた彼女が、日本に伝えてくれることが何なのか。それがまた、楽しみでたまらないのだ。

次ページ「悔いのない人生」。素晴らしい言葉だと思う。

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