内容に合致しない「4-0」が示す現在地。日本はアジアのブラジル足りえるのか?

2017年03月30日 清水英斗

前半に2点目が決まった後は、日本がミスを連発し、タイに押し込まれる時間が増えた。

タイ戦は結果的に4-0で大勝したが、甘さは至るところに見えた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[W杯アジア最終予選] 日本 4-0 タイ/3月28日/埼玉

 ホッと胸をなで下ろしたのは、19分に決まった日本の2点目、岡崎慎司のゴール直後のことだ。
 
 日本はベンチから選手が飛び出し、ピッチサイドで祝福した。それは素晴らしいことだが、その時間があまりにも長い。日本はピッチ中央に山口蛍、酒井高徳、酒井宏樹の3人が立っていたが、センターサークルの中にいたわけではないので、キックオフに支障はない(ちなみに長谷部誠がよくやる、センターサークルに入ってキックオフを阻止するのも、やり過ぎると遅延行為で警告)。
 
 当然、主審の合図で、試合が再開されてしまった。日本はまだ配置についておらず、反対側の左サイドには誰もいない。あわてて走り出した日本の選手たち。タイにキックオフカウンターを食らい、いきなり自陣に深く押し込まれた状況からスタートすることになった。
 
 ブラジルがこんな様子を見たら、キックオフと同時に全速力で走り出し、攻め切ってシュートまで行っているだろう。むしろ、タイがお人好しで良かった。ブラジルじゃなくても、UAEやサウジアラビアでも、シュートまで行くかもしれない。
 
 前半に2点目が決まった後は、日本がミスを連発し、タイに押し込まれる時間が増えた。集中力のなさ、ゆるみ具合を何人かの選手が反省していたが、それは2点目を決めた瞬間に始まったと言える。もし、メンタル面を反省するなら、この場面の行動からだろう。
 
 内容は今ひとつでも、4-0で勝利。
 
「4-0」と聞くと、どうしても日本とブラジルの試合を思い出す。2012年にポーランドのヴロツワフで戦ったブラジル戦。ザックジャパンは本田圭佑の1トップなどを試しつつ、上手くポゼッションして戦った。ブラジルを押す時間帯もあったが、結果は0-4で完敗。今は広州恒大でプレーするパウリーニョらの決定力にやられた。

 2014年にシンガポールでブラジルと戦ったときも、アギーレジャパンは控え主体にもかかわらず、悪くない試合だった。それなりにチャンスを作ったが、しかし、結果は0-4で完敗。ネイマール無双だった。

次ページ今回のタイは、あの時の我々と似たような感覚になっただろうか。

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