10か月ぶりゴールに笑顔なし。ナンバー10が警鐘を鳴らす理由

2017年03月29日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「上手くシュートフェイントを入れて、ゴールに流し込めた」

鮮やかなキックフェイントからシュートを突き刺し、昨年6月以来のゴールを決めて見せた。 写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[W杯アジア最終予選] 日本 4-0 タイ/3月28日/埼玉
 
「正直、ホッとしているところはあります」
 
 香川真司はタイ戦で昨年6月のキリンカップ・ブルガリア戦以来となるゴールを挙げ、わずかに安堵の表情を浮かべた。「常に結果を求められる」(香川)なかで、およそ10か月間得点から遠ざかり、プレッシャーや不安もあったはずだ。冒頭のコメントは、背番号10の"偽らざる心の声"だろう。
 
 8分の得点シーンは、香川らしいキレのある動きだった。久保裕也の右サイドからのクロスをペナルティマーク付近で受けると、フェイントで寄せてくるDF3枚を外してシュートコースを作り出し、右足を一閃。ゴール左隅に突き刺し、歓喜の雄叫びを上げた。
 
「裕也が右サイドで抜けた時に、入るタイミングを少しずらして行ったら、岡ちゃん(岡崎慎司)がニアで潰れてくれた。上手くシュートフェイントを入れてゴールに流し込めたし、大事な先制点を良い時間に取れたのかなと」
 
 しかし、19分に岡崎の代表通算50ゴール目でリードを2点に広げてからは、ゲームマネジメントに課題が残った。タイのプレシャーに怯み、中盤は「いつもなら起こりえないミス」(長友佑都)を連発。ボールロストからゴールを脅かされるシーンが目に付いた。香川も「少し気の緩みが出てしまった」と反省する。
 
「(グループ最下位のタイで難しさはあった?)タイですけど、(相手は)レアル・マドリーのようなプレッシャーもありながら、プレスに行きました。ただ、流れのなかで(プレスに)行けない場面だったり、(動きを)読み過ぎて入れ替わられたり、イージなディフェンスも含めて課題が多々あった。

 攻撃に関しても、ポゼッションしている時の共通意識とアイデアに欠けていた。僕たちはホームで、相手がタイということを考えれば、もっと主導権を握らないといけなかった。裏狙いはひとつの手だけど、それ一本だけではダメ。縦パスを入れてどうやって3枚目、4枚目が絡むのか。最終予選はひとつのミスが命取りになるので、プラスアルファがないと厳しいと痛感しました」

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