【プレー分析|酒井高徳】まずまずの“ボランチデビュー”。今後へ向けた貴重なオプションに

2017年03月29日 本田健介(サッカーダイジェスト)

後半のパス成功率は75パーセント。

今季は所属のハンブルクでボランチとしてプレーする機会が増えた酒井高。日本代表では初挑戦となったが、まずまずのパフォーマンスを見せた。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト編集部)

[W杯アジア最終予選] 日本 4-0 タイ/3月28日/埼玉
 
 28日のタイ戦、酒井高徳はボランチに挑戦した。所属のハンブルクで任された経験はあるが、日本代表としては初めて。本職ではないだけに、試合立ち上がりはパスミスが目立った。

 前半のパス本数は35本で、成功数は22本(成功率63パーセント)。そのなかで相手にカットされた回数が多かったのは、やはり立ち上がりの10数分だった。

 しかし、時間が経つごとに、パフォーマンスは上がった。18分には鋭いサイドチェンジで右ウイングの久保にボールを送り、相棒の山口が左足で強烈なシュートを放つチャンスへとつなげた。また、24分には岡崎との絡みで攻め上がり、好機を演出。オーバーラップで攻撃に厚みを加える場面も増えていった。

 だが、本人は「ボランチとして(ボールを)落ち着けたいという意識はあった。(香川)真司くんともボールサイドでリズムを作ろうという話をしていたが、その段階でミスが起きてしまった」と、反省を口にする。
 
 チームも前半で2点のリードを得たが、手放しで喜べる出来ではなかった。
 
 もっとも、酒井は後半、さらに新ポジションへの慣れを見せた。16本中12本を成功(成功率75パーセント)と、前半よりもパスの精度を上げたのだ。
 
 72分にはルーズボールを相手と競り合いながらキープし、華麗なターンから本田圭佑へのスルーパスを狙ったプレーには、スタンドから拍手が起こった。酒井高自身は反省の言葉を並べたが、90分を通じて決して悪いパフォーマンスではなかった。
 
 また、酒井高は前半、後半ともに出場選手全員とパス交換をしている。これは、ボランチとしての仕事をこなそうと、ピッチを広範囲に動き回っていた証だ。
 
 ちなみにパスを出した相手、パスを受けた相手として、最も多かったのはともにCBの森重真人だった。

次ページディフェンス面では課題も。

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