【釜本邦茂】さすが欧州組! 味のある香川、岡崎のゴール。一方で本田の起用法に感じたものとは…

2017年03月29日 サッカーダイジェストWeb編集部

ゲーム内容自体は褒められるようなものではなかった。

相手DFとの間合いを測りながらタイゴールを射抜いた香川。貴重な先制点となった。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

 最下位のタイを相手に4-0と、一見順当な勝利を収めたように見えるけど、ゲームの内容としては、そんなに諸手を挙げて褒められるようなものではなかったね。大差はついたけど、スコアほどの開きはなかったように思う。

 
 印象的にはタイのほうがよく攻めていたと思うし、川島のビッグセーブによって失点にはならなかったけど、危ない場面が本当に多かった。前半のうちに1点返されていたら、あるいは後半の立ち上がりに先にとられていたら……。ゲームの流れが変わっていてもおかしくはなかった。
 
 タイにしてみれば、この試合を落としたら、もうワールドカップは遠退いてしまうという想いもあっただろう。立ち上がりからの積極的な姿勢に、この試合を絶対に取るんだという気迫が感じられた。実際、序盤は日本も少し引き気味になる場面があったからね。
 
 そういうなかで、ゲームの流れを序盤、一気に変えたのは香川と岡崎のゴールだった。香川のゴールは日本のファーストシュートだった。細かいタッチから自分のタイミングに持ち込んだテクニカルなシュートだったね。一方の岡崎はニアサイドで相手DFの前に潜り込んで豪快なヘディングシュートを叩き込んだ。いずれも、欧州で揉まれてきたふたりが見せた"ベテラン"らしい味のある点の取り方だった。さすがは欧州組と言えるゴールだったんじゃないかな。
 
 このふたつのビッグプレーが、その後のゲームの進行を安定させていったように思うよ。岡崎が代表通算ゴールで歴代3位(50得点)? しばらくゴールはなかったけど、これをきっかけに勢いづいて、私の記録(歴代1位の75得点)にも迫ってくるんじゃないかな。
 
 そして、経験豊富な選手たちとともに、前線で輝きを放っていたのが久保だった。UAE戦に続くゴールとアシストで、さらに自信を深めただろうし、なにより3点目は、後半立ち上がりに波状攻撃を食らっていた中で生まれたゴールだったから、より価値のある一発になった。
 
 ただ、やはりこの日は守備陣の健闘なくして勝利はあり得なかっただろう。とりわけ、PKストップなどあわや失点の場面を何度も凌いだ川島は、MVP級の活躍だったと言えるね。
 

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【日本代表PHOTO】タイ相手に4得点で快勝!久保2戦連発、川島がPKストップ!

次ページ本田のプライドをくすぐるような使い方だった。

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