完勝の陰で背番号4に迫る「危機」。本田は今の日本代表で生き残れるのか?

2017年03月24日 小田智史(サッカーダイジェスト)

78分から途中出場の本田は見せ場を作れず、ポジション争いで劣勢に。

昨年11月のサウジアラビア戦に続き、UAE戦も本田はベンチスタートだった。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト特派)

[ワールドカップアジア最終予選]日本 2-0 UAE/3月23日/アルアイン
 
 UAEとの大一番に勝利し、饒舌に取材対応をしていく選手たちを尻目に、78分からの途中出場だった本田圭佑は最後まで無言を貫き、帰路に就くチームバスへと乗り込んでいった。
 
 ほぼ同様のシチュエーションが、23歳の久保裕也にスタメンの座を譲り、「今日はみんなが良かったので、彼らに聞いてください」とひと言だけ残して会場を後にした昨年11月のサウジアラビア戦(〇2-1)だ。しかし、当時と大きく違うのは、ミランでの出場機会が一向に増えず、さらに今回先発出場の久保が1ゴール・1アシストの大活躍を見せたこと。代表における序列が下がっているのは火を見るより明らかだ。
 
 所属クラブでの処遇やコンディションを考えれば、本田のベンチスタート自体に驚きはないが、理由は他にもある。ハリルジャパンのサッカーの特長が、攻撃陣の世代交代を加速させているようだ。UAE戦後の香川真司のコメントに、その"ヒント"を見出すことができる。
 
「今日はSBが相手の速攻のケアであまり攻撃参加していなかった分、必然的に前の3人(1トップ+両ウイング)に早い攻撃が求められる。もちろんボールをポゼッションして、遅攻の時間帯もあるに越したことはないけど、カウンターがこのチームの一番の強みになりつつあるので」
 
 UAE戦の2ゴールはいずれもカウンターからで、「狙い通りだった」(香川)。その両方に久保が絡んだように、右ウイングにスピードのある選手を置くことで、左の原口元気と併せてサイドに"2本の矢"を構える算段だ。その点では、瞬発力や速さで勝負するタイプではない本田が劣勢にあるのは言うまでもない。

次ページ試合勘の欠如で「10センチの差」を露呈。今の状態が続けば…。

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