【名古屋】今年、20歳となる“神童”。覚醒が待たれる杉森考起の今に迫る

2017年03月23日 本田健介(サッカーダイジェスト)

開幕から3戦のポジションは……。

J2ではあるが、今年の開幕戦には初めてスタメンで出場。得意のドリブルで果敢に仕掛けた。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 岡山とのリーグ開幕戦、スターディングメンバーに名を連ねた杉森考起は、ピッチを必死に駆け回った。ただ、驚かされたのはそのポジションだ。背番号27が起用されたのはこれまでには見たことのない右ウイングバックだったのだ。
 
「開幕戦に出たのは初めてだったので、そこでチームが勝てたのはちょっとですけど自信になりました。今後も積み重ねていきたいです」
 
 5節の松本戦(3月26日)へ準備を進める練習後、淡々とではあるが杉森は自らの成長に手応えを語ってくれた。その姿はここ数年に比べ頼もしく映る。ただ、2節・岐阜戦、3節・千葉戦でも務めたウイングバックでのプレーは手探りな状態だという。
 
「やりながら徐々に動き方を学んでいければと感じています。今まであまりやったことのないポジションですが、試合に出してもらえるならそこで結果を残すだけです。アッタキングサードは自由にやって良いと言われているので、高い位置ではどんどんドリブルで仕掛けていきたいです」
 
 杉森と言えば、2014年にクラブ史上最年少となる16歳でプロ契約を結び、同年にはブラジル・ワールドカップに出場した日本代表のトレーニングパートナーにも選出された。小学校時代の逸話なども含め、そのポテンシャルを示すエピソードは枚挙にいとがまない。
 
 しかし、周囲との期待とは裏腹にクラブでの出場数は伸びなかった。プロ1年目の2014年はリーグ戦での出場は訪れず、プロ2年目の2015年はリーグ戦で4試合・0得点。チームがJ2降格の悲劇に見舞われた昨季はリーグ戦ではわずか1試合の出場のみだった。
 
 それだけに4月5日には20歳となる今季に懸ける想いは強い。
 
「試合には出させてもらえているので、その点は去年と違います。チャンスをもらえた時に結果を残したいです」
 
 3節の千葉戦ではハーフタイムでベンチに下げられる悔しさを味わった。しかし、ここまでの4試合にすべてに出場し、練習でもAチームに入ることが多い点を考えれば、風間監督からの信頼の高さは窺える。チームは開幕3戦で3-4-2-1を採用したが、4節では4-4-2に布陣を変え、杉森もウイングバックではなく、より高い位置で勝負をできるようになっている点も追い風になりそうだ。
 
 5月にはU-20ワールドカップが韓国で開催される。杉森は、数年前までは同世代で中心的な存在だったが、同ワールドカップへの切符を争った昨年10月のアジア選手権は招集外になるなど、代表のユニホームに袖を通す機会は減っている。それでも世界大会出場の道を諦めたわけではない。
 
「大会に出たいという想いはあります。時間はないですが、試合に出て活躍して、呼んでもらいたい。僕は頑張るだけです」
 
 U-20ワールドカップに参加した選手たちは、2020年の東京五輪で主軸メンバーとして期待される。東京五輪の旗手へ――。ステップアップの足掛かりになるであろう勝負の1年には注目したい。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
 
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