伸び悩む大迫勇也の得点数。日本代表の鍵を握るストライカーが置かれた現状とは

2017年03月15日 寺野典子

先制からしばらくすると、前線にいた大迫は最終ラインの近くで…。

今、代表で最も頼りになる選手のひとりであることは間違いないが、大迫の置かれた現状は厳しい。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 3月11日に行なわれたドイツ・ブンデスリーガ23節。ケルンはインゴルシュタットとのアウェー戦に臨んだ。
 
 現在、残留争いを繰り広げるインゴルシュタットは、一歩も引かないというようなアグレッシブなサッカーを展開。ケルンはその勢いに戸惑った様子だった。
 
 前回ケルンで両クラブが対戦したのは昨年10月15日の7節だった。4節でシャルケを破ったケルンは2位に浮上すると、今季絶好調のライピチヒとのホーム戦、アウェーでのバイエルン戦をドローとした後、インゴルシュタットに勝利。いったんは順位を落としながらも、その勝利で再び2位に返り咲いた。
 
 しかし、それまで負けなしだったケルンだが、翌8節にヘルタ・ベルリンに初めて土をつけられると、以降現在に至るまで4勝しかしていない。
 
 順位こそ、13節以降ずっと7位をキープしているが、ケルンの状況はこの5か月で大きく変わった。直近の4試合も1分け3敗と苦しんでいる。
 
 その原因とされるのが負傷者の多さだ。
「中盤の選手が次々と負傷離脱して、本当に選手がいないんですよ。だから僕がその代わりをしなくちゃいけない」と、昨年12月に会った大迫が話していた。この時期、サッカーインテリジェンス、テクニックの高い万能タイプの大迫は中盤での起用時間が増えていた。
 
 敵地でのインゴルシュタット戦は4-3-2-1の2列目でスタート。15分、大迫が受けたファウルから得たPKをモデストが決め先制。しかし、しばらくすると、前線にいた大迫は最終ラインに近い場所でプレーするようになった。
 
「選手たちと話し合って、4-1-4-1で行こうってことになったんです。でも、それが良くなかったのかもしれない。もっと前から行くようにすべきだった」と大迫。
 
 失点したにもかかわらず、インゴルシュタットの攻撃は勢いを増す。それによって、ケルンの選手は自陣に押し込まれた。結果的に大迫も守備に奔走する時間が続く。そして、「監督からの指示で2トップにシステムを変えた」(大迫)あとの42分に同点弾を許してしまう。
 
 後半立ち上がり、ゲームスピードを上げ、圧力をかけたのは、ケルンだった。そして、60分パスを受けたモデストは並走する大迫に目もくれず、自ら突破し、この日2点目となるゴールを決めた。

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